研究課題/領域番号 |
20K14595
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
古山 精史朗 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (60760527)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | エディアカラ紀 / 動物進化 / 南中国 / 堆積相解析 / 揚子プラットフォーム / エディアカラ系 / 層序対比 / 古海洋環境 / Doushantuo層 / 酸化還元状態 / 南中国エディアカラ系 / 無機炭素同位体 / 有機炭素同位体 / ストロンチウム同位体 / 同位体層序 / 酸化還元境界 |
研究開始時の研究の概要 |
カンブリア爆発に影響したと考えられるエディアカラ紀海洋環境変動の解明は、動物進化を明らかにするうえで重要な研究課題である。そこで本研究では、動物は酸素および有機物摂取が容易な酸化還元境界周辺に生息していたとする仮説を提案し、これを検証する。本研究では、2020年度後半から2022年度前半にかけて南中国の陸棚から海盆の堆積相を示すエディアカラ系について調査を行う。そして各種同位体層序により層序対比を確立し、堆積相解析により当時の海水準変動を明らかにする。また希土類元素パターン分析から、対象地域の酸化還元状態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
エディアカラ紀は、爆発的な生物進化であるカンブリア爆発の直前の時代に相当し、その古海洋環境の理解は、カンブリア爆発の謎を解明する鍵となる。エディアカラ紀の古海洋環境の変遷と生物進化の因果関係を明らかにするため、本研究ではエディアカラ型動物が酸素および有機物摂取の容易な酸化還元境界周辺に生息していたという仮説を検証する。本研究で対象とするフィールドは、エディアカラ紀の浅海から深海の堆積相が広く分布する南中国である。2023年度になり、ようやく海外渡航も緩和された。そこで、2023年10月および2024年3月に中国貴州省Beidoushan地域とWenghui地域に分布するエディアカラ系Doushantuo層について、それぞれ調査を行った(調査旅費・消耗品費を計上)。Beidoushan地域では浅海の堆積相が、Wenghui地域では陸棚斜面の堆積相がそれぞれ分布しており、また両地域は化石が豊富に産出することで知られる。しかし、これまで両地域の堆積環境の詳細は不明であった。そこで両地域について詳細な堆積学的検討を行った結果、Beidoushan地域の化石産出層準は、上部外浜から干潟のような堆積環境であったことが示唆された。一方、Wenghui地域の化石産出層準は、これまで陸棚斜面と考えられていたが、それよりも浅い内側陸棚から外側陸棚で堆積したと考えられる。これらの結果は、エディアカラ紀における初期動物の生息環境とその進化の解明に大きく寄与する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid19により,2022年度まで岩石試料採取のための中国渡航ができなかったが、2023年10月および2024年3月に中国での調査を実施することができた。これにより、当初の調査予定地について詳細な堆積相解析およびサンプリングを実施できたが、調査時期の大幅な遅れが、研究の進捗の遅れの原因となっている。Covid19により渡航できなかった期間に、これまで取得した既存試料を用いて地球化学的分析を行ってきた。これらの結果をもとに、2023年10月以降の調査では、データの解像度の低い層準について詳細なサンプリングを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年10月以降に取得した追加サンプルについて、現在、軽元素同位体分析を進めている。これらに加え、希土類元素パターンから酸化還元環境の変遷を明らかにする予定である。地球化学的分析から得られた結果を、堆積相解析の結果と併せて検討し、南中国におけるエディアカラ紀動物進化の謎について明らかにする。得られた成果は学会および論文として公表する予定である。
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