研究課題/領域番号 |
20K14640
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 東京理科大学 (2021) 京都大学 (2020) |
研究代表者 |
山下 直輝 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 助教 (50847746)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | トライボロジー / 潤滑 / 添加剤 / DNA / 分子構造 / 原子間力顕微鏡 / 高分子添加剤 |
研究開始時の研究の概要 |
高分子潤滑添加剤は摺動材料表面に吸着することによって低摩擦・低摩耗性能を発揮する. しかし,「高分子添加剤の構造」が吸着特性や摩擦特性に及ぼす影響に関しては未解明であり,高分子添加剤の設計指針を築くためには詳細な検証が必要である.本研究では,直鎖や分岐状などの様々な構造体を容易に形成できるDNAを高分子添加剤のモデルとして利用し,原子間力顕微鏡を用いて摩擦試験を行うことによって添加剤の構造と摩擦特性の関連を調査する.また,蛍光観察を実施してDNA高分子添加剤の構造と金属表面への吸着形態を評価することによって,最終的には潤滑の最適化に必要な高分子添加剤の設計指針の提示を目指す.
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研究成果の概要 |
高分子型添加剤の潤滑添加剤の性能向上のため,高分子の構造が摩擦特性に及ぼす影響の評価を行った.添加剤のモデルとして複雑な分子構造が簡単に作製可能なDNAを使い,直鎖,分岐鎖などの構造体を作製して摩擦測定を行った結果,摩擦係数の値は直鎖構造の場合に最も小さくなった.一方で,摩耗量は分岐構造の方が小さくなった.また,DNAを蛍光標識して基板表面への吸着量を評価した.その結果,分岐構造を持つほど吸着量は少なくなりやすい傾向が見られた.以上の結果から,分岐鎖は多いほど基板上に強固に吸着されるために耐摩耗性が向上するのに対し,摩擦低減にはそれほど寄与しない可能性が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年,自動車の燃費向上のためにエンジンオイルの低粘度化が進んでいることに加え,環境負荷の観点から水潤滑の利用も注目されている.このような低粘度溶媒の潤滑下では摺動部材の直接接触が生じやすいため,高分子型の添加剤を加えることによって表面を保護するとともに粘度指数向上が図られている.本研究で得られた成果は,これまで評価対象とされてこなかった高分子添加剤分子の構造が及ぼす吸着挙動や摩擦特性への効果を解明するものであり,添加剤の開発や選定における包括的な理解につながるだけでなく,最終的には摩擦・摩耗の低減に有効な潤滑の最適化へとつながることが期待される.
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