研究課題/領域番号 |
20K14642
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 大阪大学 (2021-2023) 東京理科大学 (2020) |
研究代表者 |
渡部 誠也 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (20850035)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 表面分析 / その場観察 / メゾスコピック領域 / 分子吸着膜 / 溶媒和構造 / 摩擦 / 分光分析 / 原子間力顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
混合潤滑状態における摩擦挙動は、その現象の複雑さから、予測をすることが困難であり、摩擦表面における現象の一層の理解が望まれている。本研究課題では、高感度に表面近傍における力を検出可能なFM-AFMを用いて、分子スケールでの潤滑膜ならびに流体分子の空間分布情報を解析し、表面吸着分子と溶媒和分子の詳細な構造の解明に取り組む。さらに、ミクロ領域、メゾスコピック領域、マクロ領域における摩擦試験を行い、潤滑現象をマルチスケールでの実験から解析し、潤滑メカニズムの詳細を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、「研究実施計画」の①分子吸着膜上の溶媒和構造の解明と②メゾスコピック領域における摩擦試験の内、②を中心に取り組んだ。2023年度に実施した研究では、2022年度に引き続き、開発したメゾスケール摩擦試験機と顕微ラマン分光分析を組み合わせたその場観察試験機の改良を行った。主要な進捗として、直径7mmから直径400μmへのプリズムプローブのサイズダウンを行った。具体的には、作製した専用の治具により直径400μmの半球プリズムとサファイア平行平板の位置決めを行い、それらを常温硬化型二液性エポキシ樹脂接着剤により取り付けた。プリズムプローブのサイズダウンの結果、数~数十nm程度の微細な凹凸形状の計測が可能となった。 改良を行った装置を用いて、トライボフィルムの形成・成長過程についてその場観察を行った。計測対象には、耐摩耗剤として広く応用されていながらも、膜の形成・成長過程において不明な点が多いジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)とした。その結果から、反応膜の膜厚は、最初はしゅう動回数の増加に伴って線形に増加するが、ある程度膜厚が大きくなった後は、成長と脱離を繰り返しながら漸増する様子が確認された。ラマンスペクトルの計測結果からは、膜厚の増加に伴い、硫化亜鉛ならびにリン酸亜鉛が同時に増加する傾向が確認された。 ex-situラマン計測の先行研究では、硫化鉄が生成した後にリン酸亜鉛が生成するメカニズムが提唱されているが、本研究のin-situラマン計測ではそれとは異なる新たな知見が得られた。以上のことから、開発した装置は、表面形状とトライボ膜の分子振動情報を同時に計測することで、潤滑下におけるメゾスコピック領域での潤滑メカニズムの理解に有効であることが確かめられた。
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