研究課題/領域番号 |
20K14644
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉本 勇太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90772137)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 高分子気体分離膜 / 有機・無機ハイブリッド膜 / 固有微細孔性高分子 / シリカ / 二酸化炭素 / 溶解度係数 / 拡散係数 / 分子シミュレーション / 分子動力学シミュレーション / モンテカルロシミュレーション / 溶解・拡散モデル / 溶解・拡散機構 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,分子シミュレーションを用いて,高分子膜内部における気体分子の分離過程を分子論的に解明する.高性能な気体分離膜として注目されている固有微細孔性高分子膜と有機・無機ハイブリッド膜に焦点を当て,高分子構造やハイブリッド膜の組成が,膜の微視的構造特性に与える影響を明らかにする.さらに,膜の微視的構造特性が種々の気体分子の溶解性・拡散性に与える影響を明らかにし,要求機能に基づいた分離膜の逆設計を可能にする包括的枠組みを構築する.加えて,膜内部のサブナノスケールの閉じ込め系における気体分子の拡散挙動を膜の微視的構造特性と関連付けて考察し,異常拡散に関する新たな知見の獲得を試みる.
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研究成果の概要 |
本研究では,分子シミュレーションを用いて,高分子気体分離膜内における気体の溶解・拡散過程を解析した.具体的には,固有微細孔性高分子の一つであるPIM-1と,PIM-1/シリカから成る有機・無機ハイブリッド膜を対象とし,膜内における二酸化炭素,メタン,窒素の溶解・拡散挙動を解析した.その結果,PIM-1/シリカ界面近傍に多くの気体分子が溶解し,溶解度係数が増加することが分かった.また,シリカが存在することで,分子鎖のパッキングが阻害され,メタン・窒素の拡散係数は増加する一方,シリカ表面のヒドロキシ基の影響で,二酸化炭素の拡散係数は低下することが分かった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有機・無機ハイブリッド膜は,二酸化炭素の高透過性・高選択性を両立できる気体分離膜として,大きな注目を集めている.有機・無機ハイブリッド膜では,ポリマーと無機粒子の界面近傍における気体の溶解・拡散挙動が分離性能に大きな影響を与えるが,界面近傍の現象を実験的に詳細に捉えるのは容易ではない.本研究では,分子シミュレーションを用いることで,固有微細孔性高分子/シリカ界面における気体の溶解・拡散挙動を解明することに成功した.本研究成果は,有機/無機界面系における気体の溶解・拡散過程に関する基礎的知見を与えるものであり,種々の有機・無機ハイブリッド膜の解析に応用できるものと期待される.
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