研究課題/領域番号 |
20K14653
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
関本 諭志 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50783817)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | DBDプラズマアクチュエータ / 翼周り剥離制御 / 過渡過程現象 / 実験的非定常計測 / 過渡過程制御 / 実験的計測 / 数値流体計算 / 流体制御 / プラズマアクチュエータ / 過渡挙動 / 風洞実験 |
研究開始時の研究の概要 |
近年プラズマアクチュエータ(以下PA)と呼ばれるマイクロデバイスが、「薄い」「軽量」「機械的な可動部がない」「素早いレスポンス」といった特徴から注目を集め、航空機、風車、自動車、さらにはPCの冷却用ファンなど、様々な流れに関する機器への適用を目指して研究が進められています。これまでの研究ではPA駆動から十分時間が経って周囲の流れの状態が落ち着いた状態に注目して、制御効果を評価、現象の解析をしてきました。これに対し本研究では、PA駆動からダイナミックに流れが変わっていく様子である「過渡挙動」に注目して、PAが流れを制御するメカニズムを調べ、新たな流れの制御技術の確立を目指します。
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研究実績の概要 |
本課題は,流体制御マイクロデバイスであるDBDプラズマアクチュエータ(以下PA)による翼周り剥離流れ制御を対象とし,制御開始から準定常状態に至るまでの過渡過程現象に注目した研究である.流れが制御されていくプロセスを明らかにし,そして準定常的な流れの観察から導かれた現在の制御指針に加えて,過渡的な流れの変化を考慮した新たな制御手法の確立を目指している.2022年度は,前年度未実施の非定常圧力計測による表面圧力時系列解析を実施した.翼表面に取り付けた複数の非定常圧力センサーを用いて,PAの制御開始前後の非定常な流れの遷移を観察する.前年度実施したPIV計測による流れ場計測とは異なり,剥離せん断層の具体的な位置はわからないものの,特に前縁及び後縁における圧力係数の時系列変化から,おおよその流れの様相を判断することができる.加えて,PIV計測に比べて計測・解析にかかる時間が非常に短いことから,多くの条件で計測が可能である.過去の研究から大失速芸角に対して,ONOFFを断続的に繰り返すバースト駆動では制御性能に上限があることが指摘されていたが,機械学習を用いた研究から,バースト駆動を組み合わせた駆動をすることで制御性能を更に上げられることが判明している.その研究で提案された条件を含め,多くのバースト駆動を組み合わせた条件で実験を行った.その結果,空気力を非定常に増大する条件が見出された.一方で,空気力の増大は非常に不安定に発生することも解析から判明し,流れ(剥離せん断層)の状態とPAの駆動タイミングの関係についてさらなる解析が必要である.ここまで得られた結果を踏まえて,2023年度の研究に取り組み,最終的に非定常な空気力上昇を利用した流体制御技術の提案につなげる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は多条件における非定常圧力計測による表面圧力時系列解析を実施した.このデータから,プラズマアクチュエータの制御とそれに伴う流れの遷移の様相について多くのことがわかった.一方で,昨年度はPIVシステムの冷却装置に故障があった.本PIV装置は海外製であり,修理に必要な物品を海外から調達する必要があったが,昨今のコロナウイルス蔓延に伴う世界情勢から,修理に必要な物品の調達に時間がかかり,年度内に予定していた高速度カメラを用いたPIV流れ場計測実験が実施できなかった.これを考慮して課題期間の延長申請をし,2023年度に課題を継続することとした.このような現状を鑑み,「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り,昨年度実施予定であった「高速度カメラを用いたPIV計測によるせん断層空間分布時系列解析」が実施できておらず,準備ができ次第,可及的速やかに本項目の実施を進める.また,「非定常圧力計測による表面圧力時系列解析,及び非定常な空気力向上をもたらす駆動パラメータの整理」に関して,おおよその駆動条件は明らかになったものの,その効果は恒常的なものではなく,不安定に発生するものであった.そのため,良好な結果を得られた条件に焦点を当てて追加データ取得をするとともに,駆動前流れ場の状態と制御効果との比較をすることで,適切な駆動タイミングに関する議論を進める.以上のを踏まえ,最終的に非定常な空気力上昇を利用した流体制御技術の提案につなげる,本研究課題の成果として課題期間中の研究発表を目指す.
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