研究課題
若手研究
熱電変換素子は構造が簡単でメンテナンスが必要ないためIoTセンサーの電力源として期待されている.特にカーボンナノチューブ(CNT)は人体や配管等の曲率や可動部を有する対象への適用が期待される.本研究では,ひずみを用いたCNT熱伝導特性抑制,CNT接触部の熱・電子輸送特性の解析,CNTネットワークのマルチスケール熱電特性解析技術の開発を通し,CNT熱電デバイスの最適構造を提案する.
カーボンナノチューブ(CNT)はネットワーク構造として利用することで熱伝導率が低下し,高柔軟性の熱電材料として利用することができる.本研究ではCNTにフラーレンを内包させると周期約1nmの半径方向ひずみが発生し,CNTを構成する炭素原子が新しい周期に従って振動することが明らかになった.これはゾーンフォールディング効果と呼ばれ,原子振動の波動性を制御することにより熱伝導率を抑制する効果がある.この効果は熱電変換効率の向上だけでなく,光の干渉効果と同じような現象を原子振動でも観測できる可能性を示しており,フラーレン内包CNTを用いた新しい物理現象の観測も期待される.
IoT技術を支えるためには無数のセンサが必要になる.CNTのような高い柔軟性を持つ熱電変換材料は,人体や曲率を有する構造物への適用が期待される.本研究成果はCNTネットワークの熱電変換特性向上の設計指針を示しただけでなく,原子振動の波動性を制御するための新しい手法を示したものであり,工業的・科学的の両面で興味深い成果である.
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http://www.phonon.t.u-tokyo.ac.jp/people/~ohnishi/index.html