研究課題/領域番号 |
20K14737
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
高林 健人 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (70803336)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | IoMT / 無線ボディエリアネットワーク / 超広帯域無線 (UWB) / 超直交畳み込み符号 / 超広帯域無線 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,超広帯域 (UWB) 物理層と超直交畳み込み符号と呼ばれる誤り訂正符号を適用した無線ボディエリアネットワーク (WBAN) の高信頼と省エネルギー性を理論解析及び計算機シミュレーションによる数理的アプローチに加え,評価キット・モジュールを用いた実験的アプローチ両面から明らかにする.本研究に関する検討を通じて,医療・ヘルスケアIoT (IoMT)の求める高い要件を満たすような,ウェアラブル生体センサを用いた遠隔医療やヘルスケアモニタリングを実現するための無線ネットワークの実現に貢献する.
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研究実績の概要 |
在宅医療や遠隔医療・治療システムを構築するための医療・ヘルスケアIoT(Internet of Medical Things: IoMT)に注目が集まっている.IoMTシステムを構築する上で,人体周辺で生体センサー及びセンサーを管理するハブにより構成される無線ボディエリアネットワーク (Wireless Body Area Network: WBAN) は重要技術の一つであると言える.WBANの通信チャネルは,人の動きやセンサー及びハブの位置関係により大きく変化する.WBANの動的チャネルモデルは,逆ガウス分布モデルが当てはまることが実験により知られているが,このチャネルモデルを適用した場合のWBANの性能評価は行われていなかった.本研究では,WBANの国際標準規格であるIEEE 802.15.6で選択可能な超広帯域無線 (UWB) 物理層に対し, 超低符号化率の誤り訂正符号を生成可能な超直交畳み込み符号 (SOCC) を適用した場合の 性能評価を行った.計算機シミュレーションによる性能評価の結果,センサー及びハブの位置に応じて性能が大きく変化することがわかった.具体的には,Low Dynamics (LD) のリンクでは最大再送回数を少なく設定しても良好な特性が得られた一方で,Medium Dynamics (MD),High Dynamics (HD) のリンクでは最大再送回数を多く設定することに加えて,誤り訂正符号の符号化率を低く設定をしないと所望の性能が達成出来ないことがわかった.これらの結果により,動的度合いが異なるリンクに応じて誤り制御方式を変更すること,及びWBAN内でマルチホップ通信を行う際に性能劣化への影響の少ないリンクを選択することにより,センサーからの信頼性の高いデータを途切れることなく収集することが可能になることが期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度から第3年度において,IEEE 802.15.6のUWB物理層にSOCCを適用することの有効性を ,理想的なチャネルモデルである加法性白色ガウス雑音 (AWGN) チャネル及び,ウェアラブルWBANのチャネルモデルであるIEEEモデル CM3を適用した場合の計算機シミュレーションにより確認することが出来た.加えて,これらのチャネルモデルにおけるSOCC及びUWB物理層のパラメータの最適な組み合わせも確認出来た.さらに,当初は想定していなかった,より現実的なUWB-WBAN環境を想定した,逆ガウス分布を導入した動的チャネルモデルを適用した際の性能評価,及びSOCC及びUWB物理層のパラメータの最適な組み合わせの確認も行うことが出来ており,予想以上に様々な検討が出来た.さらに,物理層だけでなく,メディアアクセス制御層 (MAC層) でのアクセス方式を考慮した際の各種パラメータのクロスレイヤーでの最適化,及び最適リンク選択の検討も行われている.一方で,第3年度は研究代表者の所属機関移籍のための活動に多くの時間を割かれ,加えて,評価ボードの調達が昨今の情勢により思うようにいかず,実機による評価までは至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
計算機シミュレーションによるIEEE 802.15.6のUWB物理層にSOCCを適用することの有効性の 確認は出来たため,評価ボードを用いたテスト機へ本システムを実装し,実測による性能評価の確認を目指す.ただし,本システムの全てを評価ボードを用いたテスト機へ実装することが難しい場合は,その一部をソフトウェア上で扱うことで代替し,性能評価を行うこととする.加えて,実測による性能評価により得られた評価結果をまとめて,英文による論文として,国際論文誌へ投稿して発表を行う.
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