研究課題/領域番号 |
20K14812
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
廣部 紗也子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), 研究員 (50837565)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 破壊解析 / 残留応力 / 熱応力 / 動的破壊解析 / 弾塑性解析 / 計算力学 / 数値計算 |
研究開始時の研究の概要 |
構造物のカタストロフィックな破壊の全過程の詳細な予測のため、「不均一な塑性変形による残留応力場の発生」と「残留応力を伴う自己つりあい場での動的破壊進展」を同時に扱える動的弾塑性破壊進展解析手法の開発を行う。ダメージの蓄積によって突然発生する構造物のカタストロフィックな破壊は、予測不可能な現象である。本研究では、残留応力の解放と再分配を厳密に評価できる理論的枠組みの完成と、実大構造物のカタストロフィックな破壊過程を再現・予測できる数値解析コードの実装により、残留応力場が構造物のカタストロフィックな破壊過程に与える影響について検討を行い、実大構造物の崩壊挙動に関する新たな工学的知見の獲得を図る。
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研究実績の概要 |
本研究は、構造物のカタストロフィックな破壊の全過程の詳細な予測のため、固体連続体の動的破壊進展過程における残留応力の解放と再分配を厳密に評価できる理論の確立、および「不均一な塑性変形による残留応力場の発生」と「残留応力を伴う自己つりあい場での動的破壊進展」を同時に扱える動的弾塑性破壊進展解析手法の開発を行う。また、これらの理論と数値解析手法を用いて、本研究が提案する「残留応力を伴う自己つりあい場の僅かな乱れを引き金とする材料の動的破壊」が、ダメージが蓄積した構造物のカタストロフィックな破壊過程の支配的な要因であるという仮説の正否を検証し、新たな工学的知見を得る。 今年度は、昨年度スーパーコンピュータ上に実装した、残留応力場における動的破壊進展解析手法を用いて、三次元的な残留応力分布をもつ材料における動的破壊解析を実行した。解析では、残留応力分布の形状によって亀裂進展経路が変化する様子を再現することの成功した。さらに、本解析結果を強化ガラスを用いた実験結果と比較することで提案手法の妥当性を検証した。 また本解析手法を、温度変化による残留応力場の発生と準静的破壊進展にも拡張し、熱したガラス板を端部から冷却する際に観察される、準静的亀裂進展経路の遷移現象の解析を行った。この解析では、ガラス板幅、温度差、冷却速度を変化させることで、亀裂形状が直進・蛇行・枝分かれと遷移する様子を再現することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、今年度は、三次元的な残留応力分布をもつ材料における動的破壊解析と実験結果との比較を実施することができたため。また、当初予定では、「不均一な塑性変形による残留応力場の発生」と「動的破壊進展に伴う残留応力場の解放と再分配」を同時に扱う動的弾塑性破壊進展解析を使用して解析例の積み上げを行う予定であったが、この代わりに、残留応力場における動的破壊解析手法を、温度変化による残留応力場の発生と準静的破壊進展にも拡張し、過去の実験の再現に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
既に実装済みの動的弾塑性破壊進展解析コードを用いて、様々な解析を実施する。また、解析結果を実験結果と定量的に比較することで、提案手法の妥当性と適用範囲の検証を行う。
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