研究課題/領域番号 |
20K14814
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
関屋 英彦 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 准教授 (60743309)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 疲労損傷 / 鋼橋 / 圧電素子センサ / MEMSセンサ / 維持管理 / 鋼構造 / 維持管理工学 |
研究開始時の研究の概要 |
センサ部に電力を必要としない圧電素子センサと,省電力かつ小型なMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)慣性センサを組み合わせて活用することによって,ランダムな活荷重が作用する実橋梁に適用でき,省電力かつ簡易な疲労損傷検知システムの構築する.
研究実施に際しては,供用中の実橋梁における圧電素子センサを用いたひずみ応答の計測,MEMSセンサ1台のみを用いた変位応答の計測を実施し,圧電素子センサを用いて計測したひずみ応答と,MEMS慣性センサを用いて計測した変位応答に基づく疲労損傷検知システムの開発を行う.
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研究実績の概要 |
鋼橋に生じる疲労損傷は,脆性破壊を引き起こす危険性があり,適切な補修・補強を実施することが重要である.特に,疲労損傷の維持管理においては早期発見が重要である.この理由は,早期に発見することができれば,必要最小限の処置にて適切な対応が可能であるためである. 実験室内にて実施する疲労試験等においては,疲労損傷の検知にひずみゲージによるひずみ計測が実施されている.しかしながら,箔ひずみゲージは消費電力が大きいため、実橋における長期的な計測において,電源の課題が生じることが考えられる. そこで本研究では,センサ部に電力を必要としない圧電素子センサを活用した鋼橋における疲労損傷検知システムの構築を目的としている.2022年度は,圧電素子センサとMEMSセンサを用いて,供用中の鋼床版橋梁の現地計測を実施し,その計測データに基づき,疲労損傷検知の可能性に関して検討を行った.その結果,鋼床版においても鋼桁橋のガセット溶接部と同様に,疲労損傷の検知が可能である応答を計測することができた.この研究成果は,点検時に外側から確認できない疲労損傷を圧電素子センサにて検知できる可能性を示している.また,MEMSセンサを活用せず,圧電素子センサのみによる簡易な疲労損傷検知システムを提案し,その有効性について計測データに基づき検討を行った.その結果,圧電素子センサのみを用いて,ランダムな外力(車両荷重)が作用する供用中の鋼橋における疲労損傷検知の可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度,2021年度に実施した研究成果に基づき,2022年度の研究に取り組んだ.その結果,実橋にて計測した圧電素子センサの応答を分析することによって,車両通過時の応答を抽出することが可能であり,特定した車両通過時刻の情報と圧電素子センサにて計測した電圧データからひずみ応答に代わる応答(以降,代替ひずみ応答と呼ぶ)を算出することができた.さらに,代替ひずみ応答の安定性について検証することができた.この研究成果は,MEMSセンサを使用せず,圧電素子センサのみによって鋼橋の疲労損傷検知の可能性を示すものであり,想定していた通りの研究成果を得ることができている.さらに,多数の部位から疲労損傷が確認されている鋼床版橋梁においても,鋼桁橋と同様に圧電素子センサを用いた計測によって,代替ひずみ応答を計測することが可能であることが明らかになり,提案システムの汎用性についても確認することができた.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度~2022年度の研究成果にて,ランダムな外力が作用する供用中の鋼橋においても,圧電素子センサを用いてひずみ応答の代わりとなる応答(以降,代替ひずみ応答と呼ぶ)を計測することが可能であることが明らかになった.また,MEMSセンサを使用せず,圧電素子センサのみを活用した簡易な疲労損傷検知システムの構築が可能であることも明らかにすることができた.さらに,鋼桁橋ではなく,鋼床版においても圧電素子センサによって代替ひずみ応答を計測可能であった. そこで,2023年度の研究においては,圧電素子センサによる計測に基づき,実際の疲労損傷の発生および進展の検知に関する検証を実施する.具体的には,小型疲労試験体を用いた疲労試験を実施し,疲労損傷の発生時および進展時の応答を圧電素子センサによって計測し,その計測データの分析を実施する.データ分析の際は,疲労損傷の規模(幅,深さ,等)に着目し,この情報と圧電素子センサによって計測したデータの関係について分析を行う.
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