研究課題/領域番号 |
20K14852
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
大野 暁彦 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (00758401)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | グリーンインフラ / 輪中 / 文化的景観 / 屋敷林 / 文化的景 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は特に濃尾平野・輪中地域を対象に屋敷林を水防施設としての歴史的グリーンインフラと捉え、成立過程・空間デザインを明らかにする。建築様式や土木構造物に注目する既往研究に対して、本研究は屋敷林だけの分析にとどまらず、輪中全体の微地形や既存の水防施設・建築基壇などの関係を読み解き、水防施設としての屋敷林の配置や空間形態明らかにし、保全・活用手法を見出す。
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研究実績の概要 |
2022年度はこれまでのデータ整理およびその分析を実施したとともに、これまでの調査で不足していた点について補足調査を実施した。2022年度の具体的な成果は以下の通りである。1、《統合地図の作成》:これまで明らかにしてきた屋敷林および社叢林について明らかにしてきた分布状況ならびに樹種構成などについて、輪中ごとに統合したGISデータを作成し、統合して保全状況が明らかになるように整理した。2、《比較/分析》:これまで明らかにしてきた屋敷林および社叢林について樹種や構成について比較し、分析を行った。樹種については一部で共通する樹種を明らかにすることができたが、樹種の組み合わせで共通する輪中はほとんどみられなかった。一方で、輪中集落の屋敷林とは無関係に社叢林が残存するものがあるものの、一部では屋敷林と社叢林が同じ集落内に残存するものもあり、集落全体における樹林配置について更なる分析の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度も新型コロナウィルスによる影響があり、各屋敷内での調査が実施できていない。ヒアリングや実測をはじめとした調査が進んでいないため、植栽密度、石垣や祠などについて十分なデータが得られていない状況にある。また研究協力者についても、心身の健康的な理由から研究協力体制が組むことができず、調査が思うように進まなかった。そのため検討していた学外発表ならびに、関連行政との対話も実施できず、研究全体の成果としては不十分な結果になった。研究期間を延長するとともに実施方針を改めることで2023年度に研究を推進していく。
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今後の研究の推進方策 |
1.《屋敷林内部についての補完調査の必要性》:調査事例を増やすことでこれまで明らかにしてきたことの裏付けを行う。《他屋敷林との比較研究》:これまでの研究成果より、濃尾平野輪中地域においてその他の地域ではほとんどみられない屋敷林同士が連続する共有屋敷林の可能性を指摘してきたが、樹種構成や配植、屋敷との関係、祠などの付帯構造物など各要素において、その他の地域の屋敷林と比較し、濃尾平野輪中地域ならではの屋敷林の特徴を明らかにする。輪中にある屋敷林ということもあり、石垣や祠などに他地域にはあまりみられない特徴が見出されるものと考えられる。《成果発表》:2023度は集大成としてこれまで4ヵ年でのこれまで得られた成果を発表する。国際学会はじめ国内各種学会発表などを発表する予定である。これらの学会発表を通して、また関連研究者と意見交換などを実施し、今後の研究の展開の可能性について探る。《保全に向けた取り組み》:調査対象地の多くは保全対象とされておらず、世帯構成や生活環境の変化により荒廃化したり、伐採されるなど地域を代表する文化的景観にも関わらず、消滅の危機にある。2023年度には、研究の成果データをもとに今後の保全活動につなげる具体的な保全に向けた取り組み案を検討し、各関係自治体へ提言をまとめていく予定である。
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