研究課題/領域番号 |
20K14860
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大城 賢 京都大学, 工学研究科, 助教 (00601569)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 気候変動緩和 / エネルギーシステム / 統合評価モデル / 脱炭素社会 / エネルギー政策 / パリ協定 / シナリオ分析 |
研究開始時の研究の概要 |
パリ協定で示された気候変動緩和目標を達成するためには、今世紀中に温室効果ガスの大幅削減が必要となるが、その実現には様々な技術・経済・社会的な制約が存在する。本研究ではこれらの諸制約を踏まえ、パリ協定気候目標より示唆される世界CO2ゼロ排出がどれくらい早期に実現できるかを明らかにする。そのため、世界全域を対象に、個別技術の普及スピードを考慮した上で、エネルギー対策導入量やCO2排出量を推計するシミュレーションモデルを開発する。さらに、諸制約を除去するための追加政策の効果を定量的に評価し、CO2ゼロ排出を早期に実現するために必要となる方策を明らかにする。
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研究成果の概要 |
世界を対象としたエネルギーシステムモデルを開発し、2050年頃にCO2ネットゼロを達成するシナリオの評価を行った。モデルは、技術普及制約を考慮するため個別技術を扱い、水素や直接空気回収等の革新的技術についても考慮した。結果として、炭素回収貯留(CCS)やバイオマスの利用制約を伴うシナリオでは、水素エネルギーキャリアの普及率が最大で約15%まで増加する可能性を示した。さらに、エネルギー需要部門の電化等が制約されるシナリオでは、合成燃料が代替的なオプションとなる可能性を示した。ただしこれらの技術は費用面での課題が大きく、他の技術も踏まえた包括的なCO2ゼロ排出に向けた方策検討の重要性を示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2022年に公表されたIPCC第6次評価報告書では、世界ネットゼロ排出を達成する例示的なシナリオが複数示された。これらは主に負の排出削減や急速なエネルギー需要削減・電化などを伴うものであったが、本研究ではこれらの対策に依存しない、炭素回収利用(CCU)を活用するシナリオを世界で初めて提示した。これは学術的な新規性に加え、今後のIPCC報告書への示唆においても有益である。また、各国や企業はネットゼロ排出の達成に向けた方策の検討を進めており、比較的設備が固定化(ロックイン)しやすい途上国などにおいて、本研究で示したシナリオは選択肢の一つとなり得ることから、社会的意義も大きいと考えられる。
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