研究課題/領域番号 |
20K14883
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
崔 元準 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (30817458)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 地中熱交換器 / 地中エネルギーシステム / 逆問題 / モンテカルロシミュレーション / ベイズ推定 / 不確かさ分析 / 地中熱利用ヒートポンプ / パラメータ推定 / グローバル感度解析 / 熱物性推定 / 再生可能エネルギー / ベイズ統計 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の地中熱交換器の設計法は、熱応答試験を行って土壌熱伝導率のみを推定した後、熱交換器構成要素の影響が大きい短期の伝熱現象は単純化し、土壌熱物性の影響が大きい中長期の熱応答に焦点を当てている。しかし、実際の建物熱負荷と設備の運用は、数十分単位で激しく変動するため、従来の設計法と実際のシステム特性にはミスマッチが生じる。この問題は、ボアホール充填材の熱物性推定法を確立することで解消することができる。そこで、本研究では土壌熱伝導率のみならず、ボアホール充填材の熱物性まで推定可能な熱応答実験法及び実験装置とその推定法を開発し、短期挙動を正確に考慮できる新設計法開発に貢献する。
|
研究成果の概要 |
本研究は、土壌の均一でない熱物性、極めて細長な地中熱交換器を施工する過程で発生する不確実性に焦点を当て、地中熱交換器の熱性能不確実性をモンテカルロシミュレーションを通じて分析した。 地中熱交換器の性能を示すボアホール熱抵抗は、0.14~0.29 mK/Wの非常に広い範囲で変化することを確認した。 そして、地中熱交換器を構成するグラウトの熱物性を推定するとともに、推定値の不確実性を評価するために、ベイズ統計に基づく確率論的な推定法を開発した。これにより、推定された物性値がどの程度信頼できるかについての判断が可能になるため、既存の決定論的推定法に比べより合理的な推定法であることを確認した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、地中熱交換器の施工過程や熱物性情報の不足によって生じる性能不確実性の範囲を体系的に分析した。同じ構成で熱交換器を施工しても、その熱性能が二倍以上差があることを明確に示した。この結果は、既存の決定論的方法による設計は、非常に大きな不確実性を包含するために確率論的設計法と予測法の使用を必要であることを示唆す。そして、ボアホール構成要素の未知の熱物性推定をベイズ統計に基づいて確率論的に推定できる方法を開発した。今後行われる地中熱エネルギーシステムの確率論的設計方法の開発に寄与する成果だといえる。
|