研究課題/領域番号 |
20K14904
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
|
研究機関 | 武蔵野大学 (2021-2023) 京都大学 (2020) |
研究代表者 |
太田 裕通 武蔵野大学, 工学部, 講師 (50827904)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 居住のデザイン / 描画対話法 / 価値づけ / 関連づけ / コモンズ / インタビュー / 内的秩序 / 空間的実践 / アーバニスト / 自地域 / 自律性 / コミュニティ / インフォーマル居住地 / 自己組織化 / カンポン / 都市集落 / アジア / コミュニティ・アクション / 都市の自己組織化 / 都市認識アプローチ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はアジア大都市圏のインフォーマル居住地(都市集落)の再建プロジェクトに関する調査を通して、居住者らが自律的に住環境・コミュニティを形成する「自己組織化」の仕組みを解明し、その動的把握に基づいて固有性を認め、価値を高めていくような介入・計画・デザインを行う持続的アプローチ「居住のデザイン」の理論的構築を目指す。調査対象は、インドネネシア・ジャカルタ北部湾岸に位置するKampung Akuariumと台湾・台北市新店区の渓州部落であり、どちらも政府による強制立ち退きの危機から専門家やNGOの介入によって居住者主導で新しい集住環境の再建へ向かっている最中であり、実態の把握と記録が急務である。
|
研究実績の概要 |
本研究は、都市・地域環境における自発的秩序の一端をなすであろう居住者の「価値づけ」の形成過程及びその構成要素の関係性を、描画対話法を用いたインタビュー調査によって明らかにし、未来の姿を描く建築・都市デザインに導く方法の探求である。本年度は国内における複数のフィールドにおいて手法を導入した調査研究とデザイン提案のスタディを行った。埼玉県所沢市では、景観まちづくりの一環としてオープンガーデン「とことこガーデン」を対象として、植物を介した住環境における居住者の価値づけ行為やコモン化の過程の一旦を明らかにした。また、昨年度に引き続き、都市空間におけるスケーターが価値づけたスポットの変遷及びスケーターコミュニティの自律的秩序をインタビューによって明らかにしている。さらに新宿ゴールデン街では、インタビュー調査から店主・客が作り出す店舗環境の内的秩序、人間関係のアクターネットワークを描き出した。また千葉県鴨川市太海浜の急傾斜高密集落である漁師町におけるフィールド調査から地形と呼応する路地環境と住まいのあり方を、集落地図とスケッチによって描いた。以上の調査・実践から、人々が内的に作り出す都市地域の価値や秩序と、デザインへの発想に関して、価値づけ(evaluating)と関連づけ(associating)という概念で整理することを導き出した。価値づけとは住経験の中での行為・選択の結果として価値を見出していく過程であり、介入者はインタビューによって共有する。一方で関連づけとは事物同士の連携や関係性を発想することである。即ち本研究において提唱する居住のデザインの方法とは、居住者による価値づけに基づく関連づけによるデザインであると言える。価値づけの過程及び構成要素の関係性、関連づけられた事物や領域など、それぞれを可視・共有化することによる継続的で集合的な建築都市デザインのアプローチの可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、居住者の価値づけと、介入者による関連づけの相互作用によるデザイン方法の一端を明らかにした。これは建築都市デザインにおける対象地の敷地調査段階や場所性を育むコンセプトメイキングへの一つの方法的な体系化であると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、都市・地域との継続的な関わりの中で、集合的な価値づけ・関連づけのダイナミズムとしての建築都市デザインの実践を行う。集合的な価値づけ・関連づけの可視・共有化のためのシステム構築なども今後の課題である。
|