研究課題/領域番号 |
20K14950
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
市原 大輔 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80815803)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 多価イオン / 推力密度 / 静電・電磁複合加速 / 電気推進機 |
研究開始時の研究の概要 |
電気推進機を利用した宇宙機の運用において,軌道遷移に長時間を要することが課題である.そこで本研究ではこれまで不要とされていた「多価イオン」に注目する.申請者が独自に見出した静電・電磁複合加速方式を採用し,従来の静電加速に加えて,多価イオン生成に伴う自由電子を利用した電磁加速推力の増強とこれによる電気推進機の大推力化を目的とする.そのため,①多価イオン生成に必要な推進機の作動条件を特定すること,②電場による無衝突静電加速と電子-イオン間の衝突散乱を介した電磁加速とに対して,発散角損失を最小化する最適静電・電磁加速比を見出し電気推進機の大推力を実証することの2つを到達目標とする.
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研究成果の概要 |
本研究では入れ子状のソレノイドコイルを用いて環状発散磁場を形成し,コイル電流比を通じた排気イオンビームの発散半角制御に主に取り組んだ.排気プラズマの画像と整合する形でビーム発散半角も最小値を示しており,本作動条件下においては発散半角を40度まで低減できた.コイル電流比の増加と共に放電電圧及び全イオンビーム電流値も増加した.特に内側コイルに対して外側コイルの電流比を1.4倍とした結果,全イオンビーム電流値は1.0を上回っており多価イオンの生成が強く示唆される結果となった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の静電加速型電気推進機には,多価イオン生成時に生じる自由電子を活用した推力発生機構が存在しない.そのため,電子電流の増分は推力効率低下の要因であり多価イオンの生成を抑制する手法がとられてきた.本研究のキーワードは静電・電磁複合加速である.Coulomb衝突を介した電子-イオン間の運動量輸送機構を組み込むことで電磁加速が可能となり,これと静電加速とを組み合わせることで,推力効率を維持しつつ推力密度そのものを向上させる点が従来と異なるアプローチである.これにより電気推進機の単機運転における大推力作動を実現し,軌道遷移時間の短縮につなげる.
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