研究課題/領域番号 |
20K14955
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
後藤 亜希 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (90794074)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 原子状酸素 / 高分子材料 / 表面改質 / 陽電子消滅寿命測定法 / 微細構造 / 陽電子消滅寿命法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、原子状酸素(AO)照射による高分子材料表面改質技術の開発と応用展開に向け、微視的突起構造形成メカニズムを明らかにすることを目的とする。地球低軌道環境に存在するAOとの衝突により、熱制御材料などの高分子材料表面は酸化及び浸食され、ナノ及びマイクロスケールの微視的突起構造が形成される。AOと高分子材料の相互作用について現象論的な報告はあるものの、微視的突起構造の形状を決定づける因子など詳細はよく分かっていない。本研究では表面形状や化学状態を定量し、AO照射条件や高分子の化学的特性との相関を取得することで、微視的突起構造の形状に関わる支配因子を導出する。さらに微視的形状制御にも挑戦する。
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研究成果の概要 |
原子状酸素(AO)は約8 km/sを相対速度として高分子材料に衝突すると、表面を酸化および浸食し、ナノからマイクロスケールの突起構造を形成する。本研究は、AO照射による高分子材料の表面改質法の開発に向け、突起構造形成メカニズムを明らかにすることを目的とする。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンでは、AO照射に伴う質量損失や化学結合変化が同様にも関わらず、生じる突起構造の大きさや数密度が明らかに異なることを見出した。陽電子消滅寿命測定法を用いた評価などにより、高分子の高次構造(分子鎖の3次元的な配置)がAOとの相互作用が生じる空間スケールに影響し、突起構造の形状を左右する可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、高分子の高次構造を活用することで、AO照射に伴い生じる突起構造の形状を制御できる可能性を見出せた。これは、AO照射を表面改質法として応用するための第一歩と言える。また、高次構造を適切に制御することで、突起構造が形成されにくい宇宙用材料を創生できる可能性が高いと言え、宇宙機設計に対する貢献も期待できる。さらに、AO(数 eVの並進エネルギーをもつ中性原子)について、複雑な構造をもつ高分子上でのふるまいに関する知見が得られた点で、表面・物理・高分子化学といった学術分野へも貢献できる。
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