研究課題/領域番号 |
20K15008
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岡村 健太郎 近畿大学, 建築学部, 准教授 (50737088)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 災害復興 / 近代復興 / 津波災害 / 補完性の原理 / 三陸 / 東日本大震災 / 復興 / 津波 / 高台移転 / 昭和三陸津波 / 災害 / 漁村集落 / 漁村 / 集落 |
研究開始時の研究の概要 |
昭和三陸津波後の復興を対象とし、公的な支援を受けずに自力で「漸進的復興」を果たした「小規模漁村」の実態を明らかにする。そのうえで、東日本大震災における復興の問題点およびその要因を、「急進的復興/漸進的復興」の観点から、三陸沿岸地域における実地調査および文献調査により明らかにする。さらに、東日本大震災の被災地以外の津波被災リスクのある漁村集落を対象として、本研究で得られた知見がどの程度適用できるのかを分析する。
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研究実績の概要 |
現在進行形の東日本大震災における復興における問題点の一つに、行政による「急進的復興」が被災者個人の「漸進的復興」の多様性や選択肢を制限していることが挙げられる。こうした復興のありようは、人口減少が進み経済規模が縮小するなどそもそも選択肢の幅が狭まらざるを得ない今後の日本の災害時において、致命的な結果をもたらしかねない。そこで、本研究課題の核心をなす学術的「問い」を、今後の成熟社会に見合った災害復興手法は、過去の災害復興からの学びを踏まえ「漸進的復興」と「急進的復興」をバランスさせることで導けるか、と設定する。漸進的復興については中長期的な時間スケールから分析する必要があるため、まずは昭和三陸津波後の復興を対象とし、公的な支援を受けずに自力で「漸進的復興」を果たした「小規模漁村」の実態を明らかにする。そのうえで、東日本大震災における復興の問題点およびその要因を、「急進的復興/漸進的復興」の観点から、三陸沿岸地域における実地調査および文献調査により明らかにする。具体的には、対象地を大船渡市綾里砂子浜・陸前高田市小友町三日市・大槌町浪板とし、昭和三陸津波については土地台帳や土地台帳付属地図等の地図資料、東日本大震災については市町村が発行している報告書類等の文献調査を進めている。また、あわせて熊本地震や能登地震など、東日本大震災以降に発生した大規模災害後の復興のプロセスについても、分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年度に、本研究の対象となる三陸沿岸地域はCovid-19が比較的軽微であるがゆえに、都市部との接触を伴うインタビュー調査が難しいことから、当初予定していた調査方法および調査対象を計画時から変更した。対象地を大船渡市綾里砂子浜、陸前高田市小友町三日市、大槌町浪板とし、調査方法をインタビュー調査ではなく文献調査を中心とした調査に切り替えた。その後Covid-19の影響は軽微となったが、当初の研究方法・対象に戻すのではなく、変更した内容で分析作業を進めている。具体的には、対象としている3地区について、昭和三陸津波については土地台帳や土地台帳付属地図等の地図資料、東日本大震災については市町村が発行している報告書類等の文献調査を進めている。研究計画の変更に伴い、研究機関を延長したが、変更後の計画としては資料収集・分析作業ともに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後においては、対象としている大船渡市綾里砂子浜、陸前高田市小友町三日市、大槌町浪板について、これまで収集してきた文献資料をもとに、昭和三陸津波および東日本大震災後の復興過程の実態の分析を進める。それらの結果および現地調査をもとに、両者を比較することを通して、東日本大震災における復興の問題点およびその要因について「急進的復興/漸進的復興」の観点から明らかにする。そのうえで、今後の成熟社会に見合った災害復興手法は、過去の災害復興からの学びを踏まえ「漸進的復興」と「急進的復興」をバランスさせる方法論について検討を行う。さらに、過去の研究において対象とした都市的な集積を有する「大規模漁村集落」や、大規模漁村集落に次いで規模が大きく被災規模も大きかった約「中規模漁村集落」との比較も行い、三陸沿岸集落の津波災害後の復興の全体像を描くことも想定している。それらを総合的に勘案し、成熟社会に見合った新しい復興のあり方を見出すことができればと考えている。
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