研究課題/領域番号 |
20K15018
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増田 紘士 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (20823701)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | セラミックス / 柔軟性 / フラッシュ焼結 / フラッシュ処理 / ジルコニア / TiO2 / 非弾性 / 粘弾性 / ナノインデンテーション / 擬弾性 / ナノ双晶 / ビーズミリング / 双晶誘起強靭化 / 双晶誘起高靭化 |
研究開始時の研究の概要 |
セラミックス材料は,優れた硬度・耐熱性・耐食性を活かして,超高圧・超高温・超腐食などの極限環境で「構造材料」として利用されている。一方で,脆く「破壊靭性」に乏しい点は,構造材料としては致命的な欠点であり,セラミックスにおける最大の課題だといえる。そこで本研究は,幅広い温度・環境において適用可能であり,硬度を犠牲にせず靭性を向上させることが可能な「ナノ双晶強化」に着目し,(1) セラミックスにおけるナノ双晶強化の微視的なメカニズムを解明することと,(2) ナノ双晶強化を利用することで高硬度・高靭性を両立させたバルクセラミックスを創出することを目的として実施される。
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研究成果の概要 |
本研究前半では、ナノ双晶をもつY2O3安定化ZrO2 (YSZ) に対してマイクロ力学試験を実施することで、双晶ドメインの核形成および界面移動によって亀裂進展を抑制する強靭化機構を直接観察することに成功した。研究後半では、強電場下での「フラッシュ処理」を施したセラミックスから当初想定していなかった弾性軟化挙動を発見し、この現象の理解へと方針転換を行った。フラッシュ処理を施した複数の酸化物セラミックス (3YSZ、8YSZ、TiO2) において、試験速度に依存した弾性軟化挙動を確認することができた。これらの挙動は、強電場下で導入された点欠陥の可逆運動による非弾性現象に由来すると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本結果は、セラミックスの新たな機能創出につながる重要な成果だと考えられる。これまで材料の弾性率を制御することは困難だとされてきたが、強電場を利用するフラッシュ処理によって弾性特性を自在に操ることができれば、セラミックス部品の信頼性向上につながるさまざまな工学的応用につながる。例えば、セラミックスの弾性率を低下させることで柔軟性を付与する、あるいは金属などとの異種材料接合時に熱破壊への耐久性を高めることが可能となるなど、セラミックス部品の信頼性向上に貢献することが期待される。
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