研究課題
若手研究
実材料のほとんどは多数の微結晶から為る多結晶体である。この結晶の間に存在する粒界は、結晶内部とは異なる電子・原子構造を持ち、しばしば材料自体の特性も変化させる。本研究では、この粒界構造と熱伝導度の関係を、原子レベルの計算科学と機械学習的手法を組み合わせて解明する。これにより、今まで不可能だった粒界原子構造に基づく材料設計を可能にし、熱に関連するデバイス(熱電変換や遮熱コーティング等)の開発に貢献する。
無機材料の多くは多結晶体であり、結晶粒間に形成される粒界は材料特性に多大な影響を与える。そこで本研究では粒界原子構造と熱伝導度の因果関係の解明を目指した。系統的な粒界計算により、イオン結合性のMgOやSrTiO3では粒界近傍の空隙が、共有結合性Siでは結合角の乱れが熱伝導の支配因子と判明した。また、機械学習を用いて、MgO粒界構造から高精度に熱伝導度を予測するモデルを構築した。その結果、わずかな構造歪みが著しく熱伝導度を低下させることが判明し、熱電変換材料や遮熱コーティングの性能向上に寄与する材料設計指針が得られた。
粒界は材料中に普遍的に存在し、様々な材料特性に影響を与える。例えば、粒界は熱伝導度を低下させる作用を持つ。熱伝導度は遮熱性が必要な熱電変換材料(熱を直接電気に変換可能な材料)やタービンエンジン等の遮熱コーティング、放熱性が必要なPC等の電子デバイスなど、熱に関連する機能性材料において極めて重要である。本研究では、材料中の粒界がどのように熱伝導に影響を与えるかを、計算科学と機械学習により初めて定量的に解明した。この知見を活かせば、将来的により高性能な熱機能性材料の作製が可能となる。
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