研究課題/領域番号 |
20K15037
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
濱井 瞭 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00824004)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | リン酸八カルシウム / 加水分解反応 / 溶解・析出 / タンパク質吸着・集積 / 溶解度 / リン酸カルシウム / 溶解-再析出反応 / タンパク質吸着 / 骨芽細胞分化 |
研究開始時の研究の概要 |
リン酸カルシウムは新生骨をその表面に形成することから,骨補填材として応用されている。生体内において準安定なリン酸八カルシウムは,溶解後,より溶解性の低い水酸アパタイト(HA)結晶を形成する。一方,溶解性が低いHAも添加的に新規HA結晶を形成する。また,生体内には骨芽細胞を活性化させるタンパク質(成長因子)が存在する。しかし,リン酸カルシウムの新規HA結晶の析出過程により調節される生体内でのタンパク質の吸着挙動と骨伝導能との関係性は明らかでない。本研究では,経時的に変化する材料界面と生体分子との相互作用の観点から,リン酸カルシウムの溶解性と骨伝導性との関係性を細胞レベルで系統的に解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
前年度は,リン酸八カルシウム(OCP)結晶の溶解もしくは新規結晶の析出が主となる加水分解条件に対応し,成長因子モデルタンパク質の吸着・集積挙動が異なる傾向にあることが明らかとなった.このことから,本年度は,OCPの加水分解過程が成長因子吸着に及ぼす影響をより詳細に検討するため,成長因子モデルタンパク質の吸着等温線を解析した.その結果,加水分解過程によらず,モデルタンパク質の吸着等温線は,ラングミュアの式に近似された.この近似式から,タンパク質の吸着親和性および最大吸着サイト数を推定することが可能である.加水分解の促進をもたらす化学種の添加量に対する吸着親和性と最大吸着サイト数の変化の挙動は,OCPの加水分解の過程によって異なる傾向にあった.このことから,加水分解過程に対応するOCP結晶の形態変化と成長因子の吸着挙動が関連することが示唆された.さらに,非溶解性リン酸カルシウムの成長因子モデルタンパク質の吸着等温線も解析した結果,その化学環境に対する吸着挙動の変化はOCPと異なる可能性が示された. さらに本年度は,骨形成促進に関わる成長因子を吸着させたOCP共存下でのマウス骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)の培養を試みた.細胞培養に供する試料に対する成長因子の吸着条件やMSCの培養条件を検討し,最適な条件を見出すことができた.また,最適化した培養条件において,成長因子を吸着させたOCP上でのMSCの増殖を確認することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の検討結果より,OCPの加水分解反応の過程の違いにより成長因子モデルタンパク質の吸着・集積挙動が異なる可能性が新たに見出されたことを受け,本年度ではさらにモデルタンパク質の吸着等温線の解析を実施したため,想定以上に時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,非溶解性リン酸カルシウムとOCPに対するモデルタンパク質の吸着親和性を比較する予定である.また,本年度では,細胞培養実験の最適化を実施することができた。そのため,次年度は異なる加水分解反応の過程におけるOCPの成長因子吸着挙動とMSCの骨芽細胞分化との関係性をより詳細に検討する計画である.
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