研究課題/領域番号 |
20K15050
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
増村 拓朗 九州大学, 工学研究院, 助教 (40804688)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 加工誘起マルテンサイト / マルテンサイト / 転位密度 / 準安定オーステナイト / ステンレス / X線回折 / mWH/WA法 / ステンレス鋼 / 準安定オーステナイト鋼 / X線回折 / 転位 / 転位工学 / ラインプロファイル解析 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代の高強度薄鋼板として、中Mn鋼などが世界的に注目を集めているが、最近の研究においてそれらを凌駕する強度-伸びバランスを有したD&P鋼およびR&P鋼が提案された。両鋼の共通点は、基地組織が熱処理で得られるマルテンサイトやベイナイトではなく、準安定オーステナイトの強冷間加工で得られる加工誘起マルテンサイトである点である。しかしながら、その特徴を詳細に調査した例はなく、さらなる高強度鋼板の開発には特性制御手法の確立が不可欠である。X線ラインプロファイル解析により加工誘起マルテンサイトの転位密度や転位分布を定量評価し、本組織が通常の変態組織と比べて著しく高い強度を有する機構を明らかにする。
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研究成果の概要 |
準安定オーステナイト鋼であるFe-18Cr-8Ni合金(SUS304)の焼入れマルテンサイトおよび加工誘起マルテンサイトの組織、硬さ、転位密度を比較し、高密度の転位を有する加工オーステナイトから変態する加工誘起マルテンサイトのほうが、転位密度と硬さがともに高いことを明らかにした。一方で、転位の成分(刃状転位またはらせん転位)や分布状態は加工誘起マルテンサイトと焼入れマルテンサイトを圧延したものでほとんど変わらなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、高強度鋼として一般的に用いられる焼入れマルテンサイトと、TRIP鋼などで用いられる加工誘起マルテンサイトの強度と組織を比較したものである。従来、これら2つの組織の特性の違いが評価された例はなく、加工誘起マルテンサイトのほうが転位密度および硬さが高いという新たな知見が得られた。より高強度な鉄鋼材料を作製する上で、加工誘起マルテンサイトの利用価値が高いという結果は、工業的に大きな意義があると考えられる。
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