研究課題/領域番号 |
20K15072
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
甘利 俊太朗 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30837737)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 多成分結晶 / 包接化合物 / 水和物 / 多成分相図 / 晶析 / 環状分子 / Anti-solvent添加晶析 / 結晶粒子群 |
研究開始時の研究の概要 |
複数の分子から構成される多成分結晶は、単一成分の結晶ではみられない物性や機能を発現するため、医薬品や光学デバイス用の新規材料として期待されている。特に、環状分子によって形成される包接化合物の結晶(包接結晶)は、特異な化学的物性を示すことが先行研究によって明らかになっている。しかし、包接結晶の工業的な製造に向け、包接結晶粒子群の品質を考慮した晶析操作法は検討されていない。とりわけ、包接結晶の場合、複数の分子が存在する液相から、特定の化合物を決まった組成で結晶化させる。したがって、高品質な結晶粒子群を得るためには、単一成分の結晶の場合に比べ、厳密な晶析操作の設計が必要である。
|
研究成果の概要 |
包接化に利用可能な環状分子(Cucurbit[7] uril: CB7)をモデル化合物として、多成分結晶粒子群の晶析条件と得られる固相の特性の関係を調査した。 CB7と水から成るCB7水和物の場合、結晶化時の温度や溶媒(水)の量に応じて析出する固相が非晶質や結晶に変化することを見出した。さらに、非溶媒添加晶析にて析出する固相特性をXRDやDLSで分析した結果、非溶媒の添加比率が10%以下では結晶特有の明確なピークや粒子成長が観察され、相図上にてCB7水和物が結晶粒子群として析出する領域を見出した。以上より、多成分結晶の一つであるCB7水和物を結晶粒子群として製造するための晶析条件を獲得した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
CB7のように複数の分子から構成される多成分結晶の場合でも、目的成分を含む多成分相図を作成し、結晶化工学の観点から相図に基づいて晶析条件を検討することによって、溶液中から目的の多成分結晶粒子群を安定的に析出させることが可能であることを実験的に示すことができました。また、比較的水に対する溶解性が高いCB7の分離精製に関する知見は、医薬品分野での包接化による有効成分の溶解性改善をはじめとした、CB7を用いた新たな材料創製に関する研究開発に貢献できると考えられます。
|