研究課題/領域番号 |
20K15082
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
林 啓太 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (10710783)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 自己集合体 / 反応場 / エポキシ化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではベシクルを用いて位置選択的,立体選択的エポキシ化反応の確立を目指す.Span系,Tweet系界面活性剤を用いてベシクルを調製することが可能である.このベシクルに基質としてステロイド分子などを封入してエポキシ化反応を行う.例えば,ステロイド分子の一種であるstigmasterolは5, 6位,22, 23位に2つの二重結合が存在するが,ベシクル膜界面近傍に存在する5, 6位二重結合のみが位置選択的にエポキシ化されると考えられる.また,エポキシ化ステロイド分子にはαエポキシド,βエポキシドの立体異性体が存在するがC-10にβ配位メチル基(C-19)が存在するためα-エポキシドのみが立体選択的に合成されると考えられる.
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研究成果の概要 |
本研究では,自己集合体の特性と分子の局在性の関連について明らかにした.ベシクル膜は疎水性の高い領域であるが,全く水分子が存在しないわけではない.この水分子の存在する割合がベシクル界面では高く,一方で,疎水領域中心部では低い.そのため,疎水領域は均一な特性を有していない.この階層的疎水性の違いは分子の局在性に影響し,親水的な分子ほどベシクル膜界面に局在することが明らかとなった.この特性を応用して,親水性の高いペルオキシ一硫酸カリウムを用いてゲラニオールに対する選択的エポキシ化を検討したが,選択性は確認されなかった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでミセルやベシクルといった自己集合体は疎水性物質を封入可能であることから薬剤カプセルや有機合成における反応場としての応用が検討されてきたが,これら自己集合体の特性に着目して応用を検討した研究はあまりない.本研究では,構造依存的な特性に着目し,位置選択性を有する反応場としてベシクルの応用を検討した.その結果,位置選択性は確認されなかったが,封入した分子の局在性は制御できることが明らかとなった.この局在性の制御はミセルと比較してより安定なベシクルの構造が寄与していると考えられる.この知見をもとに,ベシクルのより幅広い応用が期待される.
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