研究課題/領域番号 |
20K15108
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
石井 良樹 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 特任講師 (20806939)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ソフトマター / 不均一系 / ナノ構造 / 分子動力学 / 第一原理 / 分子モデリング / 統計力学 / 輸送係数 / 密度汎関数理論 / 分子動力学シミュレーション / 赤外分光 / 空間分割解析 / 高分子 / 自己組織化 / 第一原理計算 / ナノ相分離 / 輸送物性 / モデリング / イオン性 / ガラス |
研究開始時の研究の概要 |
イオン性ソフトマターは,分子集団がナノ相分離を形成すると局所的に異なる物性が発現し,そのソフトマター界面では溶液系の不均一化も誘起しうる。そこで本研究では,濃度・密度・電荷が不均一化したナノ相分離ソフトマターの機能と分子論に焦点を当てる。そのアプローチとして分子動力学計算に着眼し,ソフトマターに一般化した新規分子モデルの開発と,物理量の局所空間に対する依存性を記述する空間分割解析法の提案に取り組む。これにより,分子構造の局所的なゆらぎが誘起する空間依存性の機能を解明し,材料設計に応用可能な分子論の創出と新しい理論基盤の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
密度汎関数理論に基づく第一原理計算と分子動力学法を応用することで,ナノ相分離ソフトマターの高精度モデリングに成功した。これにより,非イオン性の官能基による自己組織化構造とイオン性の官能基によるナノドメインの形成を大規模分子シミュレーションから再現することができ,ナノ空間を拡散する水分子やイオンの分子論だけでなく,複雑な自己組織化構造の違いが分子輸送機能に及ぼす影響を解明することができた。さらにそのようなナノ界面の分子描像を実在系の理解と繋げるため,水素結合状態を反映する赤外分光スペクトルの空間分割解析の方法論を新たに確立し,様々なソフトマター界面がもつ溶液化学特性の微視的解明に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では計算化学の方法論をアプローチとして,様々なナノ相分離構造を形成するソフトマターの分子シミュレーション基盤を確立することができた。特に複雑な相互作用が働くことで緩和速度が局所的に遅くなる電解質やガラス,高分子系の分子モデル設計と水素結合特性やナノ構造・物性挙動の解明は学術的意義が高く,自己組織化材料の成果はアメリカ科学振興協会の国際学術誌「Science Advances」に掲載された。さらに本研究の解析手法は,産業界で注目されている機能性材料の計算研究へも現在展開できており,材料設計指針に資する継続的な知見創成も期待される。
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