研究課題/領域番号 |
20K15109
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
豊木 研太郎 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90780007)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 反強磁性 / スピントロニクス / 磁性薄膜 / 磁気抵抗効果 / 規則合金 / スタガード磁化制御 / ネールスピン軌道トルク / 反強磁性体 / Cr2Al |
研究開始時の研究の概要 |
THz領域での超高速磁気記録素子を実現するためには,記録媒体として反強磁性体を用いることが必須である.対して,反強磁性体の磁気状態を制御することは非常に困難である.これを打開する手法として,近年,ネールスピン軌道トルクを利用した,電流極性によるスタガード磁化状態の極性制御が報告された.しかし,これの直接的な観測例はほぼない.そこで,本研究ではネールスピン軌道トルクの生じる材料特有の対称性を利用し反強磁性体の磁気状態を強磁性層に転写することで顕微観察も可能なベクトル検出方法を確立する.これにより,ネールスピン軌道トルクによる反強磁性体の磁気状態制御における定量評価法の確立を目指す.
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研究成果の概要 |
反強磁性体のスタガード磁化はTHz領域で動作可能であり,次世代メモリへの応用が見込まれる.これを見据え,デバイス応用に必須となる,薄膜系におけるC11b Cr2Alの作製条件および,その磁気物性の検討を行った.その結果,高品質なC11b Cr2Al相の生成には873 K以上の温度,組成として27-33at.%-Alの範囲内が必要なことがわかった.また,一方で結晶の規則度のNeel温度への影響は小さいことがわかった.磁気抵抗効果測定を通じて,磁気異方性に関して検討を行った.その結果,C11b Cr2Al薄膜の磁気モーメントはc面内にある可能性が高いことがわかった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
C11b Cr2Alの薄膜系における報告例は極めて少なく,これに関して詳細に検討した本研究の結果は十分に確立された反強磁性材料のライブラリに新たなメンバーを加えた点で学術的・社会的意義があると言える.特に,学術的側面で言えば,規則合金薄膜の系としても比較的大きな単位胞となるC11b構造の薄膜作製例として,その成長条件を明らかにしたことは大きいと考える.社会的には,応用の期待される反強磁性ベース次世代メモリの開発に向け材料の選択肢を増やした点で意義があると言える.
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