研究課題/領域番号 |
20K15110
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
新堀 佳紀 立教大学, 理学部, 助教 (20734924)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 金属クラスター / 平衡 / 励起状態 / 光アップコンバージョン / 配位子保護金属クラスター / 発光解析 / 三重項-三重項消滅光アップコンバージョン |
研究開始時の研究の概要 |
近年、配位子に保護された金属クラスターは溶液中にて配位子や金属原子が結合・解離の動的平衡状態にあることが明らかにされた。しかし、これまでのクラスターの発光特性評価ではこのような平衡状態が考慮されず、クラスターは溶液中でも単一組成であることが前提とされてきた。 本研究では、申請者が開発した平衡を考慮した発光解析を用いて溶液中の平衡種の光物理学的・熱力学的特性を明らかにする。これによりクラスター組成・構造と光物性の真の対応関係を明らかにすることを目的とする。また、得られた知見をもとに配位子やカウンターイオンの種類を最適化することで、より高輝度に発光する平衡種の選択的合成法の確立も行う。
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研究成果の概要 |
金属クラスターのカウンターイオンを変更し溶媒への溶解平衡を制御することで金属クラスターの溶解度を向上させた。これにより、光アップコンバージョンを通して金属クラスターの励起三重項特性を明らかにすることが可能になった。銀クラスターとホスフィン配位子の結合・解離平衡を制御しつつ、銀クラスターの励起状態を評価したところ、銀クラスターから蛍光色素への三重項エネルギー移動のチャネルはホスフィンの非配位サイトであることを突き止めた。また、クラスターと配位子の結合・解離平衡反応を利用することで、金属クラスター-色素複合系の合成に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の溶液中での配位子保護金属クラスターの吸収・発光などの諸物性の評価は金属クラスターの構造が溶液中で保たれていることが前提であった。しかしすべてのクラスターが必ずしもその構造を保っているわけではなく、配位子やイオンが結合・解離の動的平衡状態にあることが研究代表者らによって明らかにされた。研究代表者らは溶液中での平衡状態を発光解析の中に組み込むことで各平衡種の励起状態特性の評価法の確立に成功した。これにより配位子の結合解離平衡が金属クラスターの励起状態に与える影響を明らかにすることができ、望みの励起状態特性を有する金属クラスター創製の指針を提示することが可能になる。
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