研究課題/領域番号 |
20K15116
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28020:ナノ構造物理関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大坂 藍 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教(常勤) (70868299)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 表面処理 / 完全結晶表面 / 強相関酸化物 / 相変化 / 欠陥 / マグネタイト / Verwey transition / 研磨 / Fe3O4 |
研究開始時の研究の概要 |
Fe3O4は絶縁体 / 金属相転移時の抵抗変化比が2桁以上、スピン偏極率が約100%の特性から、次世代スピントロニクス材料として注目を集めている。しかし、下地基板表面の不完全性が導く薄膜中のアンチフェーズバウンダリー (APB) と呼ばれる欠陥を原因に、膜厚50 nm以下の薄膜試料の品質は著しく劣化し、Fe3O4特性が消失する問題があった。本研究では、独自の表面処理技術によって下地基板上に表面ダメージのない結晶学的完全平滑面を作製し、APB数を極限(現状の1/100以下)まで削減したFe3O4薄膜を実現することで、10 nm以下のFe3O4極薄膜で材料本来の物性を創出する。
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研究成果の概要 |
薄膜成長の起点である下地基板に着目し、独自の表面加工技術を駆使して単結晶基板全面に原子レベルで粗さ・欠陥が排除された完全結晶表面を作製し、物性劣化が究極に抑制された極薄膜成長をマグネタイト(Fe3O4)薄膜で実証した。完全結晶表面化した下地基板(MgO(001))では欠陥密度が従来の1/1000以下であり、その上に成長させたFe3O4極薄膜(膜厚50 nm)は今まで実現不可能であった明瞭なフェルベー転移特性を発現した。さらに、基板全体に集積的に作製したFe3O4チャネル試料で統計評価を行ったところ、チャネル歩留まりを大幅な向上(0%⇒79%)が確認でき、薄膜研究の共通課題の解決策を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本成果はあらゆる薄膜材料で材料本来の物性発現を可能にする方法論を明確に示しており、非常に波及効果が大きい。欠陥等の物性が不連続になる原因を排除することで、薄膜/基板界面の物理解明、結晶構造設計の統一的解釈が可能になり、界面物理、ナノ材料設計に関する議論を活性化させる。さらに物性劣化の無い機能性薄膜の実現はデバイスの機能向上、ナノレベルでのサイズダウンを可能にし、エネルギー問題解消に向けたBeyond Mooreを叶える大容量メモリ性能・超低消費電力スピントロニクスデバイスの開発を推進し、カーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献する。
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