研究課題/領域番号 |
20K15160
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
巻内 崇彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (70869453)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 低温物理学 / スピントロニクス / 磁気共鳴 / マイクロ波 / 物性物理学 / 希釈冷凍機 / 低温物理 / 磁化ダイナミクス / 低温物性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年注目されている核スピントロニクスや磁性体量子効果は学術・応用両面で飛躍的な発展が見込まれるが、実験的にアプローチするためには数十ミリケルビンの低温が必要である。この温度領域はヘリウム3-ヘリウム4希釈冷凍法という確立された手法で到達できるものの、スピン波・磁化歳差の誘起・検出時に試料が発熱する問題と、試料の熱伝導度が低温で著しく小さくなる問題があり、この分野の発展を遅らせてきた。本研究では冷凍機技術、低温の熱伝導・ノイズ対策といった総合的な知見に基づき、これらの測定の温度領域を希釈冷凍機温度まで拡張し、将来の超低温スピントロニクス実験の礎を築くことを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究はミリケルビンの温度領域におけるスピントロニクス実験を開拓することを目的とし、磁性絶縁体の効果的冷却方法、ノイズ低減、低温マイクロ波実験の技術を構築した。発熱を抑えたロックイン測定のノウハウを蓄積し、キャント反強磁性と強い電子スピン-核スピン結合を有する磁性絶縁体の核スピンゼーベック効果の実証に成功した。同様の低温測定技術は白金ナノリングに対するアハラノフ-ボーム振動の観測にも繋がった。強磁性体のパラメトリック励起における位相状態の観測、磁化状態トモグラフィー、核・電子スピンの磁場分散の低温マイクロ波分光法など、スピントロニクスマイクロ波測定でも成果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピントロニクスは電子のスピンの自由度を活用した物理原理やデバイスを創生することを目的としており、その研究領域を低温で顕著に現れる核スピン物理や量子効果に広げることは学術的にも産業的にも重要である。本研究は室温の1/1000倍の低温におけるスピントロニクス実験技術を確立することを目標とした。核スピンによる熱電変換、スピントロニクスに欠かせないスピン流-電流変換物質である白金の量子干渉効果、磁性体の性質を直接調べることができるマイクロ波分光法などで成果をあげた。これらの成果は実社会に役立つスピントロニクス現象の発見や、磁性材料の性質を調べることにつながると期待できる。
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