研究課題/領域番号 |
20K15162
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久富 隆佑 京都大学, 化学研究所, 助教 (80870435)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 表面弾性波 / 量子光学 / スピントロニクス / 量子エレクトロニクス / フォノン / 光学測定 / 磁気光学 / 角運動量 |
研究開始時の研究の概要 |
スピントロニクス研究は急速に進展し続けているが、その基礎物理法則の体系化は未完成である。現在の中心的課題の一つは、回転運動を含めた非慣性系における角運動量遷移の理解である。最近、固体表面が一方向に回転運動する表面弾性波(SAW: Surface Acoustic Wave)と伝導電子スピンの間で角運動量遷移が起こっていることを示唆する間接的証拠が報告された。しかし、SAWと伝導電子スピン間の角運動量の収支を定量的に測定することはいまだ達成できていない。そこで本研究では、SAWと伝導電子スピンそれぞれの状態を測定可能な光学系を構築し、SAWと伝導電子スピン間の結合強度を明らかにする。
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研究成果の概要 |
表面弾性波(SAW)と電子スピンはスピン回転結合を通して結合することが近年報告された。本研究では、SAWおよび電子スピンの状態を光学的に定量評価することにより、スピン回転結合の結合強度を決定することを目的とした。その要素技術として、2種の光学測定手法を新たに開発した。具体的にはSAWが存在する試料表面に絞った光を入射し、その反射光の偏光および光路に加えられた変調を測定することにより、SAWの状態を特定することを可能にした。加えて、光のショットノイズを利用することにより、SAW振幅の絶対値の推定が可能であることも実証した。これらの成果は本研究の目的を達成する上で重要なステップとなるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピントロニクスを記述する法則の体系化は未だ発展途上である。現在の中心的課題の一つに非慣性系スピントロニクスの体系化がある。約100年前、アインシュタインらによって電子スピンを回転させることによりその状態を変化させることができることが実験的に示されたが、理論に関してはおざなりにされてきた。近年ようやく理論側に進展があり、非慣性系スピントロニクス研究が再び加速している。そこで我々は表面弾性波(SAW)が物質中に引き起こす渦と電子スピンの間での相互作用に着目し、その強さを実験的に決定することを目指している。本期間では、目的達成に必須となるSAWの定量的な光学測定手法を2種類確立することに成功した。
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