研究課題/領域番号 |
20K15163
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 福島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
千葉 貴裕 福島工業高等専門学校, 一般教科, 講師 (90803297)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | スピントロニクス / トポロジカル物質 / 非相反輸送 / スピンポンピング / スピン軌道トルク / 磁気抵抗効果 / スピン構造 |
研究開始時の研究の概要 |
磁壁移動型メモリの実用化には、磁壁への情報の書き込みに用いる「スピン注入効果」および情報の読み出しに用いる「磁気抵抗効果」の巨大化が必要である。近年、磁気近接界面における反転対称性の破れが、非相反(一方向的)伝導現象を引き起こすことが報告されており、非相反性による上2つの効果の巨大化が期待される。本研究では、モデル計算と数値シミュレーションを駆使して、幾何学的スピン構造をもつ磁性体とその近接界面において、電荷とスピンの非相反伝導現象の研究を行い、本現象の微視的機構の解明を通じて、スピン注入効果と磁気抵抗効果の巨大化への新しい指針を示す。
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研究実績の概要 |
本年度は、三次元トポロジカル物質における非相反輸送現象及び界面状態に関して研究を行った。トポロジカルディラック半金属(TDS)は強いスピン軌道相互作用と結晶の対称性に起因してバルクに点接触する線形バンド構造をもつ物質である。また時間反転対称性と空間反転対称性の両方を有することから、バンド構造が二重にスピン縮退している。したがって、時間反転対称性を破る磁性体との接合を用いてスピン縮退を解くことにより、バルクバンドにヘッジホック的なスピン構造(スピン運動量ロッキング)を有する磁性ワイル半金属へとトポロジカル相転移することが期待される。一方で、空間反転対称性が破れたワイル半金属において巨大な非相反輸送現象が発現しうるという理論予測が提案されている。そこで本研究では、磁性体/TDS接合系において非相反輸送現象及び界面状態を理論的に解明することを目指した。 第一原理バンド計算に基づき、まず磁性体/TDS接合系における界面電子状態の計算を行った。その結果、磁性体のd電子軌道とTDSのp電子軌道の混成によりTDSのバルクバンドに大きなスピン分裂が生じることを見出した。またこの知見に基づいて、TDSバルクに磁性体を配置した構造においても同様のスピン分裂が生じることを明らかにした。さらにこれらの系では空間反転対称性の破れに起因してスピン分裂が非対称になることも分かった。これにより磁性体/TDS接合及び磁性体TDS複合構造を活用した非相反輸送現象への展開が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度内に第一原理バンド計算及び数理モデル解析により非相反輸送現象を調査する予定であったが実現できなかった点に関しては計画が少し遅れているという認識を持っている。一方で、類似系である磁性体/半導体の磁気輸送現象については、実験と共同で論文を出版できたことから一定の成果は得られた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、トポロジカルデイラック半金属やワイル半金属といった三次元トポロジカル物質における磁気輸送現象を扱う。とりわけ波数空間でのスピン構造を有する表面・界面状態に注目し、第一原理バンド計算と数理モデル解析を併用することで電荷スピン輸送における非相反現象を明らかにすることを目指す。
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