研究課題/領域番号 |
20K15164
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
軽部 皓介 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (00755431)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | スキルミオン / アンチスキルミオン / カイラル磁性体 / フラストレート磁性体 / S4対称性 / 新物質開拓 / 磁気異方性 / フラクタル磁区構造 / 磁気力顕微鏡 / 小角中性子散乱 / 単結晶合成 / 新物質探索 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、室温スキルミオン物質であるCo-Zn-Mn合金について、Co10Zn10からMn20までの様々な組成を合成し、磁化率測定、電気輸送測定、中性子散乱測定を行い、磁気物性の全体像を明らかにする。また、室温スキルミオンによる創発輸送現象を観測し、元素置換により、その効果の巨大化する。さらに、小さいサイズのスキルミオンや反スキルミオンを室温で示す可能性のある新物質を合成し、様々な測定により、磁気構造を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、室温トポロジカル磁性体の物質開拓、物性解明を行った。まず、Co-Zn-Mn合金における頑強な準安定スキルミオン状態やスキルミオン格子の構造変化には、磁気異方性と、Mnスピンのフラストレート反強磁性相関がCoスピンに与える磁気的な乱れが重要であることを明らかにした。また、S4対称性を持つ新規室温アンチスキルミオン物質(Fe,Ni,Pd)3Pを発見し、アンチスキルミオンの安定性には容易軸型の磁気異方性と反磁場エネルギーの競合が重要であることを明らかにした。また、バルク単結晶においてノコギリ型およびフラクタルな構造を持つ磁区構造が発現することを発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究のCo-Zn-Mn合金の系統的な研究により、Mnのフラストレート磁性がスキルミオンを担うCoスピンに及ぼす磁気的な乱れがスキルミオンの準安定性や格子変形に重要であることが明らかとなり、Co-Zn-Mn系の複雑なスキルミオン状態の全貌が明かされた。また、本研究におけるS4対称性の室温アンチスキルミオン物質(Fe,Ni,Pd)3Pの発見は、これまでのD2d対称性のホイスラー合金のみにとどまっていたアンチスキルミオン研究のブレイクスルーとなり、アンチスキルミオンの複雑な安定化機構の解明にも繋がった。以上の成果は、室温(アンチ)スキルミオンを用いた磁気デバイスの実現に大きく貢献すると期待される。
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