研究課題/領域番号 |
20K15168
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 貴啓 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60839687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 酸化物薄膜 / 強相関電子系 / 酸化物 / 薄膜 / エレクトロニクス / スピントロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
質量の重い極限としてフラットバンド中にある電子は、波数空間で巨視的に縮退しており、種々の興味深い量子物性を示すことが長年理論的に予想されてきた。近年、パイロクロア型と呼ばれる酸化物において、現実にフラットバンド構造を実現する可能性が提案され、注目を集めている。そこで本研究では、対象酸化物を高品質薄膜化することによって、理論的に提案されてきたバンド構造および付随する量子物性の検証を行う。また、量子物性の制御を行うことで、将来のエレクトロニクス応用に向けた機能性開拓を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、「擬フラット」と呼ばれる特異なバンド構造を持つことが理論的に予想されている、パイロクロア型酸化物A2B2O7(A=Sn,Pb;B=Nb,Ta)の薄膜化と、そのバンド構造に起因する量子物性の観測と制御を試みた。作製した薄膜試料は、良好な結晶性・化学組成を示したが、いずれも絶縁体であった。光学測定の結果、各化合物間のバンドギャップの傾向は、構成元素の原子軌道のエネルギー準位を用いて説明できた。第一原理計算で報告されているバンド構造に着目し、直接遷移と間接遷移のバンドギャップの差が、擬フラットバンドの「平坦さ」の良い指標となっていることを実験的に確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は、「擬フラットバンド」を持つ酸化物における今後のバンドエンジニアリングと機能性開拓につながると期待される。また、昇華性元素を含む物質、特に未だに報告の限られているパイロクロア型酸化物の薄膜作製において重要な知見を与える。 加えて、本研究の過程において、同様に昇華性の高いBiやRu を含む物質の薄膜化や、当初予定していた薄膜試料への電界効果による物性制御に関する多くの知見を得ることができた。これらの知見を活かして、従来にない酸化物薄膜・ヘテロ界面試料における創発磁気輸送現象と、その制御に関する研究が進展中である。
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