研究課題/領域番号 |
20K15175
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
大江 弘晃 横浜市立大学, 理学部, 助教 (20793194)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 熱振動 / 分子チェーン / 熱振動エネルギー / グラフェンチェーン / 熱振動スペクトル / 走査トンネル顕微鏡 / 走査プローブ顕微鏡 / 表面/界面物性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、走査型トンネル顕微鏡と熱振動原子間力顕微鏡の複合顕微鏡「STM/熱振動AFM」を開発する。装置開発は、STMの金属探針部 (いわゆるTIPホルダー) を同サイズの力センサーに置き換えることで、既存装置を容易かつ完全に流用可能な装置構成での電流と力の同時に計測を目指す。開発装置を用いて、分子変形を考慮した原子/分子間相互作用の特性解析を試みる。
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研究成果の概要 |
固体表面の原子/分子の複合的な特性(例えば、金属表面に吸着した分子ワイヤーの電気伝導率、剛性、伸縮性の相関特性)の計測を目標に、「走査トンネル顕微鏡(STM)」と「熱振動で力を計測する原子間力顕微鏡(熱振動AFM)」を組み合わせた複合型走査プローブ顕微鏡の開発に取り組んだ。 従来、AFMカンチレバーの熱振動振幅は数ピコメートルと超微小であるため、力計測への応用は難しかった。そこで本研究では、カンチレバー振動信号をフーリエ変換して積算することで信号雑音比を向上させ、引力から斥力までの広いダイナミックレンジで力計測に利用可能なことを実証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、既存装置では難しい超微小振幅でのAFM計測の可能性を検討した。その結果、AFMカンチレバーの原理的最小振幅である熱振動を利用して、共振スペクトル(振動振幅密度の周波数依存性)の変形を通して引力から斥力まで広い範囲で力計測が可能であることが明らかになった。AFMカンチレバーの硬さが約1kN/m、温度が300Kのとき、熱振動振幅は約1ピコメートルである。これは原子分子の1%程度の微小サイズであるため、例えば分子チェーンの連絡部の屈曲による電気伝導特性の変化などのような静的な複合計測への応用が期待できる。
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