研究課題/領域番号 |
20K15189
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
岩國 加奈 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教 (80837047)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 光コム / フーリエ分光 / フーリエ分光計 / 分子分光 / 中赤外 |
研究開始時の研究の概要 |
精密分子分光は分光計の高性能化とともに発展してきた分野で、基礎物理学の創生から産業応用まで幅広く貢献してきた。分子は中赤外領域に指紋吸収線と呼ばれる強い吸収があり、これらは分子種の同定や内部構造の解析に有用である。一方、光源は超短パルスレーザーの一種である光コムが利用されるようになり、これまで観測できなかった過渡現象や分子間相互作用が観測できるようになった。光コム光源開発が中赤外領域にシフトしていることに伴って、中赤外領域でも光コムの特性を活かした分光手法開発が期待されている。本研究では、光コムが時間領域で等繰り返し周期性を持つことに注目し、中赤外領域にも適用できる新奇分光手法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
光コムはモード同期レーザーの出力として得られ、周波数領域ではレーザー共振器長で決まる繰り返し周波数frepが一定のコム状スペクトルになっている。光コムが分光実験に使われる場合、そのスペクトルの等間隔特性や高い周波数測定精度に着目した分光計が多い。本研究では、 光コムの時間領域での出力が繰り返し周期一定のパルス列であることに着目し、高い周波数分解能と広帯域特性を有する新規フーリエ分光手法を提案し、その性能を評価することを目的としている。昨年度までに腕の長さが約2mのプシュ・プル方式のマイケルソン干渉計で構築し、可視の連続発振(CW)レーザーを用いて干渉信号が観察できることを確認した。今年度は繰り返し周波数が高い光コムを、電気光学変調器で発生させることに成功し、また、データ取得プログラムを開発して繰り返し周波数と同期してデータ取得できることを確認した。今後は、分光計と光源を組み合わせて新規のフーリエ分光の原理検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は光源開発とデータ取得プログラムの開発を行った。光源としては、連続発振レーザーの出力を電気光学変調器(EOM)で変調することで櫛状のスペクトルを持つ光源を使用する。これは光コムの一種である。光コムはモード同期レーザーが使用されることが多いが、その中でもよく用いられるファイバーでレーザー共振器を構築するタイプの光コムでは、繰り返し周波数が50MHz程度と低めであり、本研究への応用が難しい。EOMを用いる場合、EOMに印加するRF信号周波数で繰り返し周波数が設定され、市販されているEOMで数100MHz以上の繰り返し周波数が実現できる。しかし、強度変調だけでは高次サイドバンドは強度にばらつきがあり、分光実験などへの展開が難しい。そこで本研究では、EOMで位相変調と強度変調を加えることで、強度が概ね一様なスペクトルを得た。データ取得に関しては、DAQを用いるが、手持ちの装置はサンプリングレートが速くない。そこで、コムの繰り返し周波数に同期し、かつ分周した信号を作り、これを用いてサンプリングすることとし、この信号でDAQが動作することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度開発した光コム光源とデータ取得プログラムと、昨年度開発したフーリエ赤外分光計とを組み合わせて新規のフーリエ分光の原理検証を行う。
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