研究課題/領域番号 |
20K15194
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
植本 光治 神戸大学, 工学研究科, 助教 (90748500)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ナノフォトニクス / 電磁界解析 / 超高速現象 / 第一原理計算 / 非線形光学 / TDDFT / メタ表面 / 大規模計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高強度レーザーパルスとナノスケール人工構造(メタ物質・メタ表面)の光物質相互作用を、第一原理電子ダイナミクス計算と電磁界計算の結合手法によるマルチスケールシミュレーションから解明する。大規模シミュレーションを駆使した解析により、非線形分極、キャリア励起、光近接場増強の存在が、ナノ構造の光学応答への影響を定量的に予測し、これをもとに、非線形光学効果を高効率で実現するためのナノ構造の設計指導原理を明らかにする。本研究の結果は、ナノ構造の非線形効果を利用した新奇な光デバイスのデザインや、半導体表面のレーザー加工予測への応用など、多方面への大きな波及効果が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究では、第一原理的な電子ダイナミクス計算をもちい、強レーザー場中のナノ物質における光応答計算の手法開発を行う。さらに、同手法を応用して、ナノ粒子・メタ表面による高効率非線形光学変換デバイス設計を試みることを目標とする。本年度は以下の進展があった。 (1)本研究では、斜方入射した高強度パルス光が物質表面で引き起こす非線形光学応答の計算手法の構築をおこなっている。今回、定式化した数値計算手法を駆使し、シリコンナノ薄膜表面のブリュースター角(無反射)入射条件下の非線形効果による高調波発生・屈折率変化・反射率変化のデモンストレーションを行った。開発した手法と応用計算について学術雑誌への投稿(Optics Express誌)を行った。 (2)オープンソースの第一原理計算コード「SALMON」に半導体ブロッホ方程式とマクスウェル方程式の結合手法による非線形ナノフォトニクスシミュレータを実装し、任意形状の3次元ナノ構造(ナノ粒子・メタ表面)などの光学応答計算が可能とした。上記の拡張を施した次期バージョンはWebサイト上で現在公開されている。(https://salmon-tddft.jp/) (3)上記手法をもちいて、シリコンナノ薄膜、ナノ粒子、また表面のグレーティング構造の非線形光学特性の予測を試みた。3-9次の高調波・高次高調波発生を再現できるほか、変換効率のナノ構造形状などパラメータ依存性を調査を行った。同成果について学会発表を行った(光物性研究会、応用物理学会)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、第一原理的な電子ダイナミクス計算や現象論的な半導体ブロッホ方程式とマクスウェル方程式の結合手法の構築と非線形ナノフォトニクスへの応用研究を進めている。本研究課題で目標としている手法構築ステージは前年度当初時点では計画より若干遅延した状態にあったが、現時点では概ねクリアしており、コード実装、比較的単純な構造に対するデモンストレーション計算も達成している。一方、これに続くステージである計算手法を応用した高効率非線形光学変換デバイス設計はいまだ途中段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、機械学習手法と組み合わせたナノ構造の最適設計に取り組む。また、コロナ期間中に現地参加困難だった国内・国際学会等で研究成果の周知に務める。
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