研究課題/領域番号 |
20K15228
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
齋藤 雅明 名古屋大学, 物質科学国際研究センター(WPI), 助教 (40832556)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 電子相関 / 波動関数理論 / 結合クラスター理論 / 多参照摂動理論 / 分子分光法 / 溶媒和効果 / メスバウアー効果 / 動的電子相関 / 静的電子相関 / 局所相関法 / 量子化学 / 生体分子 |
研究開始時の研究の概要 |
[NiFe]ヒドロゲナーゼが触媒する水素開裂機構を、DFT等の従来法を超えた精度で詳細に明らかにする。そのために本研究では、高次電子相関理論である「密度行列繰り込み群に基づく多参照結合電子対近似 (DMRG-CEPA) 法」を開発し、これを用いて、かつてない高精度計算を行う。また多電子波動関数計算のコストを大幅に減少させる「局在化対自然軌道 (PNO)」のアイディアをDMRG-CEPA法に導入することで、数百原子から成る実在的なモデル分子にも適用可能なスケーラブルなPNO-DMRG-CEPA法の開発を行い、水素開裂機構の詳細な解析を行う。
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研究成果の概要 |
[NiFe]ヒドロゲナーゼなどの「強い量子揺らぎ」を内包する大規模複雑系を対象として、以下の成果を得た。(1) メスバウアー分光法は金属内包分子系の金属原子周辺の化学的環境に関して有用な知見を与える分光法である。鉄を含有する大規模分子系のメスバウアーパラメータの高精度計算を目的としてDLPNO-CCSD線形応答理論に基づく新規手法の開発を行った。(2) 溶媒中での溶質分子の高精度電子状態計算のための新規理論手法(PCM-DMRG-CASPT2法)の開発を行った。(3) 大規模分子系に対する新たな高精度波動関数理論 (LVMO-PNO-CASPT2法)の開発を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
[NiFe]ヒドロゲナーゼはプロトンからH2を可逆的に生成するタンパクである。工業的なH2生成とは異なり、ヒドロゲナーゼ触媒機構は、多くの生体高分子がそうであるように、非常に温和な条件で動作する。それ故、その分子機構の解明には学術的のみならず工学的にも価値がある。しかしながら、ヒドロゲナーゼは「強い量子揺らぎ」を内包する大規模複雑系であるがために、その電子状態計算は、密度汎関数法をはじめとした既存の理論手法では困難である。本研究で得られる新規な理論手法はヒドロゲナーゼのみならず、種々の金属タンパクの電子状態のかつてない高精度計算を可能とし、新規な学理構築の第一歩になると考える。
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