研究課題/領域番号 |
20K15232
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
宇都 卓也 宮崎大学, 工学部, 准教授 (60749084)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | セルロース / キチン / イオン液体 / 溶解機構 / 分子動力学計算 / 分子シミュレーション / データ駆動型解析 |
研究開始時の研究の概要 |
木質細胞壁や甲殻類外骨格などに見出されるセルロースやキチンは構造多糖であり、高結晶性繊維のため、水や一般的な有機溶媒に難溶で加工性に乏しい問題がある。最近、セルロースやキチンを良好に溶解するイオン液体が注目されている。本研究課題では、イオン液体の基本骨格や側鎖構造の違いによって、セルロースやキチンの溶解性にどのような影響を与えるのかに着目し、界面ダイナミクスや分子論的観点から解析する。具体的には、様々なイオン液体の溶解シミュレーションを基に溶解機構を体系的に解析し、熱力学的パラメータによる定量的評価を行う。さらに、データ駆動型解析と連携させることで、新規な可溶化溶媒の探索・発見につなげる。
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研究成果の概要 |
様々なイオン液体によるセルロース・キチン溶解機構を分子動力学(MD)計算によって解析し、溶解力のあるイオン液体において、カチオンとアニオンが協働的に作用することで溶解が進行する様子が観察された。セルロース・キチンの溶解挙動は結晶構造を壊す過程であったため、結晶構造に由来する分子間水素結合量と実際の溶解度を比較したところ、MD計算結果と実験値で強く相関した。溶解度予測に基づくセルロース溶媒探索のために、機械学習を組み合わせたスクリーニングを試みた。さらに、イオン液体の構造がキチン溶解度にどのように影響するかを検討すると、アニオンサイズやカチオン側鎖の柔軟性が重要な役割を果たすことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
持続可能な循環型社会を形成するために、バイオマスの利活用に関する研究開発が必要不可欠である。木質細胞壁や甲殻類外骨格などに見出されるセルロースやキチンは構造多糖であり、高結晶性繊維のため、水や一般的な有機溶媒に難溶で加工性に乏しい問題がある。最近、構造多糖材料を良好に溶解するイオン液体に注目されている。そこで、イオン液体中ににおけるセルロース・キチン溶解機構を、分子シミュレーションによって明らかにした。さらに、データ駆動型解析の適用を検討することで、難溶性バイオマスの優れた溶媒探索を検討した。したがって、高分子繊維の溶媒探索におけるハイスループットスクリーニング技術の基盤形成に貢献した。
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