研究課題/領域番号 |
20K15247
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中西 匠 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (40836425)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | プロトン移動 / スピン転移 / 遷移金属錯体 / 光応答 / 電場応答 / 結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では電場による物性の制御、特に磁性の制御が可能な遷移金属錯体の開発を目的に、電場によるプロトン移動の誘起が可能な配位子の設計、それを用いたスピン転移錯体の開発を行う。既に報告されている分子内プロトン移動とスピン転移が連動して発現する錯体(プロトン結合スピン転移錯体)の設計を基盤に、置換基修飾、アニオン効果を駆使することで新規なプロトンダイナミクスを開拓し、それらに対する電場応答性の検討を行う。
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研究成果の概要 |
プロトン移動現象は近年、強誘電体や発光材料、スイッチング材料など様々な機能性物質の開発に応用されており、固体中における新たなプロトン移動現象の開拓とその理解はプロトン移動現象に基づく機能性材料の開発において重要である。本研究ではプロトン移動とスピン転移が連動して発現する現象(プロトン結合スピン転移現象)を示す鉄二価錯体を基盤に、固体中における新規プロトン移動現象の開拓を行った。多段階スピン転移を示す鉄錯体を新たに開発し、構造の変化を単結晶X線回折測定により観測した結果、この錯体が結晶レベルでの多段階プロトン移動およびプロトン化状態の熱双安定という新たな挙動を示すことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多数の要素(電子、スピン、プロトン、分子など)が連動する系ではそれぞれの特徴的な挙動が他の要素に反映されることから単一の要素では見られない興味深い現象が発現する。固体中におけるプロトン移動と電子移動が連動する現象は今日まで盛んに研究が為されている一方で、プロトン移動を含むプロトンダイナミクスとスピンが連動する現象は今日においても十分な研究が為されていない。本研究の成果はプロトンースピン連動系が、固体中における新規プロトン移動現象の開拓およびプロトン移動現象の基礎的な理解を進める上でのプラットフォームとして有望であることを示している。
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