研究課題/領域番号 |
20K15260
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋川 祥史 京都大学, 化学研究所, 助教 (80804343)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ナノカーボン / π共役系 / フラーレン / 拡張フラーレン / 緩和時間 / 水分子 / 金属錯体 / ホスフィン / 磁気相互作用 / 動的挙動 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,単一分子の化学が注目を集めており,単一分子接合・原子間力顕微鏡・電子顕微鏡を用いた研究が国内外で勢力的に行なわれている.しかし,分子レベルの物性測定や反応解析においては,各々の測定に適した形態で測定に供する必要があり,網羅的に情報収集するのは困難である.そこで,「1つの分子で物性を網羅的に評価できる形態」として,曲がったπ共役系の内側に着目した.特に,フラーレンの内壁は単一分子物性を解明する上で非常に有望である.その一方で,フラーレンの内部空間はサイズによる制約があり,この課題を解決するために,本研究課題において有効内部空間の拡張に取り組む.
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研究成果の概要 |
フラーレンの有効内部空間の拡張法として,(1) フラーレン骨格のひずみの解消を駆動力とした二開口型フラーレン誘導体の合成および(2) 開口フラーレン誘導体へのC2ユニットの導入を実現した.前者では,開口方向の異なるエルボー型炭素ナノケージの構築を達成し,その構造は単結晶X線構造解析により明らかとした.一方後者では,C60やC70を原料としてわずか2ステップで,それらの骨格をC65NおよびC75Nへと拡張することに成功し,内包された水分子はフラーレンとの相互作用が最大になるような位置で安定化することを見い出した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
サブナノ空間への小分子の導入は,構造や相互作用が究極的に規定された単純な物理モデルへと落とし込むことができ,これまでに構築された理論や物理現象を観測する上で極めて有用である.しかし,そのような実験系モデルを構築する手法は限られている.その代表例としてπ共役分子であるフラーレンが挙げられるが,それらが固有にもつサブナノ空間に包摂できる分子種(または適用範囲)はフラーレンの実効体積によって大きな制約を受ける.すなわち,フラーレンの有効内部空間の拡張を達成したという本研究の成果は,こうした制約を打破する一手になると期待され,これまでに実現が不可能であった新奇な超分子システムを構築できると考えられる.
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