研究課題/領域番号 |
20K15290
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
太田 英介 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (80790188)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | ジルコノセン / 可視光レドックス触媒 / C-O結合開裂 / ラジカル / エポキシド / エーテル / 炭素–酸素結合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では有機化合物に頻繁に見られるエーテルC-O結合のホモリシスを目指す。具体的には遷移金属-酸素の高い親和性に着目して、環歪みの小さいエーテルC-O結合の開裂反応を開発する。天然には糖類やテルペノイドに代表される環状エーテルが広く存在する。多官能基性の基質のC-O結合を温和な条件下で均等開裂できれば、極性機構では得ることのできない魅力的な合成中間体を提供できると期待される。従来は不可能であった強固な結合の切断/ラジカル発生を起点とした可視光レドックス触媒系を構築することで、天然物や機能性分子の合成戦略に新たな選択肢を提供する。
|
研究成果の概要 |
本研究では、ジルコノセンと可視光レドックス触媒の協働触媒系を世界で初めて発見することに成功した。さらに、ジルコノセンがC-O結合の均等開裂に利用できることを初めて実証した。エポキシドを基質としたC-O結合開裂では、同族元素であるチタノセンを用いた反応とは逆の位置選択性で開環が進行した。本触媒は、単純なアルキルクロリドのC-Cl結合の均等開裂にも利用できることが明らかになった。本反応には多様な官能基をもつ基質が利用でき、天然物を含む複雑な分子にも適用可能である。本反応の活性種として想定されるジルコニウム(III)を有機合成化学に利用した例は少なく、今後新たな研究領域を開拓出来る可能性がある。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の着想の元になったチタノセン触媒によるエポキシドの開環反応は、天然物合成において広く活躍してきた反応である。チタノセン触媒とは逆の位置選択性でC-O結合を均等開裂する本反応は、チタノセンを用いる反応と相補的に利用できると期待される。本触媒系の反応中間体として想定されるジルコノセン(III)を有機合成化学に応用した例は限られており、この化学種を利用すれば新たな研究領域を開拓出来る可能性がある。なお、開発した変換反応は、普遍的に存在する金属元素と可視光を組み合わせ、天然に豊富に存在する原材料を使用する。持続可能な社会を見据えた環境調和型の有機反応としての側面を持つ。
|