研究課題/領域番号 |
20K15301
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
三澤 智世 上智大学, 理工学部, 准教授 (30824726)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 酸素二重架橋構造 / 二核錯体 / ルテニウム / 酸素二重架橋錯体 / ルテニウム錯体 / 酸素架橋錯体 / 二重架橋構造 / ルテニウム二核錯体 / 混合原子価 / 酸化反応 / オキシド一重架橋錯体 / カルボナト架橋錯体 / 金属二核錯体 / 酸素架橋 |
研究開始時の研究の概要 |
天然に倣った物質の酸化触媒モデルの構築に向けて、遷移金属が2つの酸素で架橋された(以後「酸素二重架橋」)骨格の錯体を創製する。鉄やマンガンなどの第一周期遷移金属を分子構造の中心(活性点)に持つ「酸素二重架橋」部位を有する錯体や酵素は、自然界・生体内で広く物質変換反応の触媒として機能している。それゆえ第一周期遷移金属を用いた高活性な触媒の開発に注力されてきたが、本研究で着目するのは高い活性の理由の解明に必要な、反応機構の解析に適する分子開発である。第二周期遷移金属のルテニウムを用いて「酸素二重架橋」錯体を創製することは、水などの物質の酸化反応機構の理解と触媒開発を促進することにつながる。
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研究成果の概要 |
本研究では、2つの鉄間を2つの酸素が架橋(「二重架橋」)した金属酵素の活性点の模倣構造を、ルテニウム(Ru)により創製した。生成物の電子状態は形式上III価-IV価であり、末端にアクアおよびヒドロキシド配位子を有する。合成の合理性(純度・収率、ステップ数)、原料の反応性の検討から、Ru間を1つの酸素が架橋した錯体の塩基性水溶液中の反応が最適であった。二重架橋構造上に炭酸イオン等の架橋配位子を有する錯体の反応では目的物は得られず、別の観点で興味深い知見を得た。生成物の酸化還元電位やpKaより90 kcal mol-1を超える結合解離自由エネルギーが示唆され、酸化反応場としての可能性を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では2つの鉄間を2つの酸素が架橋した金属酵素の活性点の模倣構造を、ルテニウム(Ru)により創製した。鉄錯体と比べて活性を低下(安定性を向上)させた「酸素二重架橋」Ru(III)-Ru(IV)二核錯体を構造モデルとして単離し、物性を評価した。Ru間を1つの酸素が架橋した錯体は水の酸化触媒として知られるが、「酸素二重架橋」の報告は少ない。鉄二核錯体に関する検討は数多い一方で、常温常圧で比較的安定なRu錯体による酸素二重架橋錯体の検討は学術的意義がある。温和な条件下の高効率な物質変換反応は急務であり、本研究の社会的意義は水や有機物の酸化反応過程の解明や分子設計に対して知見を与える点と考える。
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