研究課題/領域番号 |
20K15348
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
田仲 玲奈 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00813510)
|
研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | セルロースナノファイバー / 緩和 / 粘弾性 / 複屈折 / レオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
セルロースナノファイバー(CNF)の「緩和(系が非平衡から平衡に戻る現象)」は、液中でのCNFの運動や堅さを反映し、CNF製品の物性の制御や加工プロセスの設計にも必要となる、重要な指標である。本研究では、レオロジー測定と蛍光顕微鏡法により、CNFの緩和時間と持続長(堅さの指標)を評価し、CNFの緩和挙動を解明する。液中におけるCNFのダイナミクスを理解し、それによりCNFの工業利用の促進に貢献する。
|
研究実績の概要 |
本年度は課題①「レオロジー測定によるセルロースナノファイバー(CNF)の緩和挙動の解明」に重点的に取り組んだ。昨年度の結果で、CNFの粘弾性緩和がセルロースナノクリスタル(CNC)と異なり、既存の半屈曲高分子の粘弾性理論だけでは記述できないことが明らかになったため、その原因について検討した。CNFの分散媒を変えて(75~90%グリセリン水溶液、60%スクロース水溶液)粘弾性・複屈折測定を試みたが、現在使用している約100%グリセリン以外ではCNFの粘弾性・複屈折を正確に測定することができなかった。また、コットンなど他の原料由来のCNFや高圧ホモジナイザー処理によるCNFを用いて同様の実験を行っても、CNFの粘弾性緩和は既存の半屈曲高分子の粘弾性理論だけで記述できなかった。従って、CNFの粘弾性緩和はその出発物質や機械処理法によらず、半屈曲高分子とは異なる挙動を示すことが明らかになった。現在これらの結果については論文を執筆中であり、本研究課題の最終年度内での発表を目指す。 課題②「蛍光顕微鏡法によるCNFの緩和機構の解明」については、蛍光ラベル化した孤立分散型CNFの観察を試みたものの、サイズが小さすぎるため、研究所が所有する蛍光顕微鏡では観察できなかった。今後はサイズの大きいホヤ由来CNCや、酵素処理法により調製した木材由来CNFを用いて、蛍光顕微鏡観察によるCNFのダイナミクス解析法の確立を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
粘弾性・複屈折測定によるCNFの緩和挙動の解明については、論文の執筆を行うことができたため、順調に進展した。一方で、蛍光顕微鏡観察が可能なCNFの選定に想定以上に時間がかかっており、進捗がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
課題①「レオロジー測定によるCNFの緩和挙動の解明」については、論文の執筆中であり、来年度中に発表予定である。課題②「蛍光顕微鏡法によるCNFの緩和機構の解明」については、幅の太いホヤ由来のCNFを用いて顕微鏡観察を行い、緩和時間の評価を目指す。
|