研究課題/領域番号 |
20K15359
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
片桐 千帆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 産総研特別研究員 (00824400)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 和周波発生分光 / SFG / 非線形光学 / 有機エレクトロニクス / 和周波発生分光法 / 電界誘起SFG分光法 / 有機半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、有機デバイスの動作環境下での電荷挙動観測のため、過渡電流法と電界誘起SFG分光法を組み合わせた独自技術を開発する。過渡電流測定時の膜内部での電荷輸送を過渡的な電界として捉え、その電界が誘起するSFG信号強度の変化を調べることで電荷輸送性の評価を行う。さらに材料界面の注入障壁やトラップ由来の蓄積電荷量を算出し、SFG信号との関係を明らかにすることで、SFG信号強度から蓄積電荷量の定量情報を取り出す解析理論の構築を目指す。以上の技術開発によって、実デバイス中の電荷輸送性と蓄積電荷量を定量化するとともに、デバイス物性との関連性を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
申請者の資格喪失により2021年6月末で補助事業廃止となったため、その時点までの研究実績をまとめる。 本研究では、過渡電流法と和周波(SFG)発生分光法を組み合わせた新たな計測技術を開発し、実動作環境下に置かれたデバイス中での電荷輸送や電荷蓄積挙動の観測を可能にするべく、研究に取り組んできた。 初年度は、パルス電圧印加によって観測される過渡電流から電荷移動度や蓄積電荷量を定量的に評価できる過渡電流測定系の立ち上げを行った。酸化アルミニウムと自己組織化単分子膜を組み合わせた薄膜絶縁層を作製、その絶縁層上に成膜した有機薄膜の電気特性解析に過渡電流測定を適用した。その結果、実デバイスと同じ数十ナノメートルの有機膜中における電荷移動度や電荷密度を定量評価することに成功した。次に、蓄積電荷の分極現象に起因した電界誘起SFGスペクトルを計測、スペクトル強度と蓄積電荷量との相関性を検証した。有機トランジスタを駆動させた状態でSFG測定を行ったところ、有機-絶縁層界面の蓄積電荷量の増加に伴うスペクトル増強を観測、これは界面の蓄積電荷によって作られた電界による電界誘起効果によるものである。以上の結果は、電界誘起SFG分光が有機デバイス中の埋もれた界面における電荷蓄積挙動を観測するのに有効な手段であることを示すものである。 次年度は、前年度に確立した技術を用いて様々な半導体材料の電気物性や界面特性を評価し、過渡電流法やSFG分光技術の汎用性を検証した。研究継続が可能だった場合、電荷誘起される局所電場をスペクトル強度の変調として捉え、電荷が半導体膜を横断するのにかかる時間を直接測定することで電荷移動度を見積もる解析手法の確立や、過渡電流法で実測した蓄積電荷量とスペクトル強度との関係を定量的に示し、強度変化に定量的尺度を付与することで電界誘起SFG分光による蓄積電荷量の定量解析を実現する予定であった。
|