研究課題/領域番号 |
20K15363
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 東京大学 (2022) 東京工業大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
永井 隆之 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任研究員 (30851018)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 発光半導体 / スピネル型構造 / グリーンギャップ / 第一原理計算 / スピネル化合物 / 半導体 / カルコゲナイド / カルコゲン化物 / 無極性構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、従来研究されてきた半導体物質群とは異なるスピネル型カルコゲナイド化合物に着目し、新しい発光半導体の創出を試みるものである。これまで発光半導体として広く用いられてきたのはGaNに代表されるⅢ-Ⅴ族半導体であるが、これらの物質は緑色領域で著しく発光効率が減少するグリーンギャップ問題を抱えている。本研究提案ではグリーンギャップが存在しない革新的な発光半導体物質を開拓するために、無極性構造と高い元素選択性に着目した独自の物質探索指針を提案し、スピネル型カルコゲナイド化合物の発光半導体としての可能性を提示する。
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研究成果の概要 |
本研究では可視光域で波長制御可能な新規発光半導体群の探索を目的として、スピネル型カルコゲナイドに着目した。第一原理計算による電子構造解析の結果、特定の電子配置をもつカチオンが占有されたスピネル型カルコゲナイドは全て直接許容型バンドギャップをもつことを見出した。この結果に基づき、実際にスピネル型カルコゲナイドの一つである(Zn,Mg)Sc2S4の多結晶試料を合成し光学特性を測定した結果、直接許容型バンドギャップに由来する強い吸収と発光を観測することに成功した。さらに、ZnとMgの比を変えることで、色純度の劣化を伴わず発光波長を変調できることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ディスプレイやレーザーなど光学デバイスの発展に伴い、高効率かつ高精細な発光特性を示す半導体材料の需要が急速に高まっており、既存材料の高性能化に加えて、従来物質の延長線上にない新しい物質群の開拓も重要な課題である。スピネル型カルコゲナイドは既存材料であるⅢ-Ⅴ族半導体やペロブスカイト型化合物とは異なる結晶構造に由来したユニークな軌道混成によって発光半導体に有利な電子状態が実現しており、発光半導体探索における新しい指針になり得ると期待される。さらにスピネル型構造は豊富な元素選択性を有することから、組成の最適化によって本物質系からさらなる高機能半導体が創出される可能性がある。
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