研究課題/領域番号 |
20K15376
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
春山 潤 東京大学, 物性研究所, 助教 (80772003)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 第一原理計算 / 金属/水界面 / 燃料電池 / 非線形分光 / リチウムイオン電池 / 電気化学反応シミュレーション / 電極/電解液界面 / Liイオン電池 / 電荷移動反応 / 溶液理論 |
研究開始時の研究の概要 |
リチウムイオン電池の主なセル抵抗は電極/電解液界面の電荷移動抵抗である. 抵抗低減に 向けた取り組みとして, 研究代表者はグラファイト電極/電解液界面における電荷移動反応に着目し, 密度汎関数理論+溶液理論計算による微視的シミュレーションをこれまで行った. しかし, 不動態被膜の存在下での活性化障壁も検証の必要があり, グラファイトへの共挿入現象も電荷移動過程を理解するため重要である. 本研究ではグラファイト電極/不動態被膜/電解液界面における電荷移動反応の計算を実験と比較検証する, またグラファイト電極を使用する際に現れる共挿入現象の電気化学的な理解を目指した研究を提案する.
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研究実績の概要 |
金属/水溶液界面は様々な電気化学反応の起こる舞台であり, 金属表面上の水分子の振る舞いを理解・予測することは, 電気化学デバイスの性能向上に必要となる. 例えば燃料電池の変換効率は電極で起こる酸素還元反応における反応中間体の安定性が重要と考えられ, 金属表面における水の基礎的性質を明らかにすることで変換効率上昇への貢献が期待できる. 近年和周波発生分光法から得られる二次非線形感受率を用いた吸着構造予測は水分子の配向のような他の解析手法で得ることが難しい情報に対しての有効性が示された. 今後の実験との定量的な比較のために第一原理計算を用いて二次非線形感受率を得ることは重要である. そこで昨年度は研究開始3年度は金属/吸着水系に適用可能な二次非線形感受率の第一原理計算手法の開発を行った. 和周波分光の条件として, 与える可視光と吸着種の電子励起のエネルギーが十分に分離しているときを考えた. 赤外領域の応答として二次非線形感受率は近似的に振動状態間の遷移分極・遷移分極率テンソルで重み付けた状態和から求めることができる. バンドギャップのある系に対しては密度汎関数摂動法を利用して上記の値が得られるが, 金属/吸着水系はバンドギャップを持たないためそれらの方法を適用することが出来ない. 本研究では有効遮蔽媒質法を用いて金属/吸着水系を模したスラブ構造に直接電場を加え, その応答の微係数を有限差分法から求めることで遷移分極・遷移分極率を求める方法を提案した. 発表では古くから表面科学分野で研究されてきたPt表面の水吸着層に上述の方法を適用した. また第一原理計算から得られた二次非線形感受率の虚部をヘテロダイン検出和周波発生分光法の結果と比較し, 良好な一致が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始3年度として本研究の目標である金属/水界面の理解に向けて、白金電極表面の吸着水の構造を詳細に解析することで燃料電池などの基礎電気化学反応の理解が進展すると考えられる. 昨年度の解析はPt(111)表面の吸着水系の最安定構造と求められた√39x√39 5・6・7 員環構造において二次非線形感受率を実験と比較し良好な結果を得た. さらに本研究で求めた二次非線形感受率はまだ実験で測定されていない振動数領域にも適用可能であり, 水の変角モードや秤動モードについて二次非線形感受率を第一原理計算から予測した. このような知見は電気化学の金属/水溶液界面の予測能力向上のための足掛かりとなる. 以上のように, 概ね順調に進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は金属吸着水系の理解に向けた着手点であり, 今後は電気化学反応の基礎的な振る舞いを理解するために, 二次非線形感受率の第一原理計算と実験との比較を進めていく. また密度汎関数理論+溶液理論計算を用いて半導体電極界面のフラットバンド電位などの解析もリチウムイオン電池のシミュレーションと並行して行なう予定である.
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