研究課題
若手研究
本研究では、RNAアプタマーによる新規デングウイルス中和分子の創製を目指す。まず、デングウイルス様粒子そのものを材料(抗原)とし、アプタマー選抜(SELEX)を実施する。その後、表面プラズモン共鳴法による結合評価系を確立・最適化し、候補分子の「結合力」を評価することに加え、既存の中和抗体との競合的結合を指標とした「中和能」の検証も実施する。さらに、高い結合親和性を有し、中和抗体との競合的結合(≒中和能)を示したアプタマーの配列を部分的にランダム化したライブラリーを作製、再度選抜を実施し、アプタマーの結合・中和活性の向上を図る。
独自に開発したウイルス様粒子を利用したアプタマー選抜法(VLP-SELEX)を基に、デングウイルス膜タンパク質を発現させたウイルス様粒子「DENV-VLP」を標的としたアプタマー創製法の最適化と高度化によって、感染増強リスクのない新規デングウイルス中和分子の創製に取り組んだ。選抜法やクラスタリング解析法の最適化、表面プラズモン解析を基盤とした結合および中和活性推定技法の確立等の技術的な高度化を実現し、全血清型(1-4型の4つ)のDENV-VLPに対して結合し、既存の中和抗体に対し競合阻害性(≒中和能)を示す分子の取得に成功した。
デングウイルス感染症に対する中和抗体医薬の開発は難航している。その原因として、抗体依存的な感染増強現象による症状の重篤化が挙げられる。このリスクを回避し、より安全な治療薬を開発するためには、抗体に次ぐ新たな中和分子の創製が必須である。本研究では、VLPという精良な選抜材料(抗原)および核酸抗体「RNAアプタマー」の分子特性を活用し、感染増強リスクのない新規デングウイルス(DENV)中和分子を創製することに成功した。今後、本研究にて構築した中和分子創製技術の更なる最適化と高度化を実現することで、未だ治療薬のない多様なウイルスに対して適応可能な基盤技術へと発展することが期待できる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 118 号: 18
10.1073/pnas.2019497118
Scientific Reports
巻: 11 号: 1 ページ: 2976-2976
10.1038/s41598-021-82350-w