研究課題/領域番号 |
20K15423
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増田 曜子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80813237)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 水田土壌 / 鉄還元窒素固定菌 / 稲わら / 安定同位体 / SIP / 13C-SIP / 15N-SIP / 鉄還元菌 / GCMS / IRMS / 窒素固定 / LCMS / 炭素循環 / 窒素循環 |
研究開始時の研究の概要 |
応募者はこれまでに、水田土壌の窒素肥沃度維持の鍵は鉄還元菌窒素固定にあること、水田土壌由来の鉄還元菌が、稲わらの分解により生成される酢酸等の有機酸や、稲わらの構成成分であるセルロースを資化できることを明らかにした。これらのことから、「稲わら由来の炭素化合物が鉄還元菌窒素固定を駆動して土壌の窒素肥沃度を維持させ、その窒素肥沃度に支えられて水稲が生育する」という仮説が導かれた。本研究はこの仮説の検証を目的とし、鉄還元窒素固定菌が稲わら由来の炭素化合物を同化して窒素固定することの証明、ならびにその窒素固定量の解析を行う。本研究は水田における持続的な水稲生産を支えるメカニズムの真相に迫る意義を有する。
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研究成果の概要 |
13C標識した稲わらを添加した水田土壌を用いて稲わら由来の炭素を利用する細菌をSIP法により特定した。また、GCMSを用いて稲わら由来の有機酸および糖類を同定および定量した。その結果、鉄還元菌は培養初期から稲わら由来の13Cを取り込むこと、稲わら由来の低分子炭素化合物は微生物に取り込まれ土壌にほとんど残存しないことが示唆された。 15N2を封入した水田土壌ミクロコズムを作製し、鉄還元窒素固定菌が実際に15Nを取り込むことを実証した。また、IRMSを用いて土壌中に固定された窒素量の算出も行った。 このように、鉄還元菌がイネ由来の炭素を利用すること、土壌の窒素肥沃度を高めることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
代表者が発見した「鉄還元菌窒素固定」は、窒素固定の従来の常識を覆す新知見であった。本研究は水田土壌の自律的な窒素肥沃度維持の微生物メカニズムとして、稲が鉄還元菌窒素固定を駆動して土壌の窒素肥沃度(地力)を高め、それを利用して稲が生育するとの新概念、「稲が土を肥やし土が稲を育てる」を提唱し検証したものであり、実際に水田土壌で起きている事象の完全解明という学術的な意義だけでなく、将来的に低窒素施肥農業技術を支える基盤となる社会的意義も持つ。
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