研究課題/領域番号 |
20K15446
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
|
研究機関 | 兵庫県立工業技術センター |
研究代表者 |
今井 岳志 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 主任研究員 (30785241)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | バイオフィルム / ペルオキシダーゼ / 酸化還元 / 抗酸化 / ヘム / 電子供与体 / 酸化ストレス / 老化 / 酸化 / 酵素 / 感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞の酸化ストレスへの適応は、進化の過程で起きた最もダイナミックな出来事である.一方で、大気下での生存が可能となった細菌種の酸化ストレスへの適応方法は未だ不明な点が多い.申請者は、広く細菌に保存されている特定の機能不明なタンパク質が、新奇の反応機序で酸化ストレスから細胞の機能を保護していることを、これまでの研究で突き止めた.当該の酵素を失うと、大気下においてバイオフィルムは変性が進み、老化と似た機能不全を呈する.本研究では各種の酸化ストレスに対して当該の酵素がどのような役割を果たすかを多角的に評価し、細菌の多様化に繋がった、我々とは異質な酸化ストレスへの適応戦略を明らかにすることを目指す.
|
研究実績の概要 |
本研究では各種の酸化ストレスに対して当該の酵素がどのような役割を果たすかを多角的に評価し、細菌の多様化に繋がった、我々とは異質な酸化ストレスへの適応戦略を明らかにすることを目指している.本研究計画は①酵素反応における当該酵素の諸性質解明、②オーソログの活性確認と破壊株作製、③破壊株においてタンパク質のアグリゲーションを定量、④進化生物学的な位置づけの解明、の4つの実施項目に分かれている. 今年度は特に①において当該酵素YjbIが活性中心に持つヘムがどのように持続的に抗酸化の役割を果たしているかという点に注目した.ヘムは大気中の酸素と結びつき、容易に周囲の分子を酸化するため、既知のヘムタンパク質を還元性の分子中に添加すると自動酸化が緩やかに進行する.そのため、同じくヘムタンパク質であるYjbIが自動酸化の性質を持っているならば、これまでに明らかにしてきた菌体表面の大気下で果たす抗酸化の役割と矛盾することになる.そこで、実際にいくつかの還元剤存在下でYjbIによる自動酸化を定量化してみた.その結果、他のヘムと比較して、YjbIが著しく自動酸化しづらいことが明らかとなった.これは、YjbIがこれまでに知られている典型的なヘムタンパク質に当てはまらない、特殊な仕組みを持つことやYjbIが生理機能として抗酸化反応を担っていることを裏付けるものとなった.機序の詳細は不明ではあるが、昨年度実施したポイントミューテーションの結果からその重要性が明らかとなった、活性中心付近のチロシン残基などの電子リッチな残基が、ヘム周辺に近づいた還元性の分子が酸化されることを防いでいる可能性がある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標に掲げる当該酵素の諸性質解明に関連して、当該酵素の特殊な性質が明らかとなったため.また、トップジャーナルの1つにここまでの研究成果をまとめた投稿論文がアクセプトされたため、客観的にも順調に研究計画が進展していると考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き当該酵素による反応において未解明な、電子供与体の探索を試みる.
|