研究課題/領域番号 |
20K15465
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
乙木 百合香 東北大学, 農学研究科, 助教 (90812834)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | オキシリピン / アルツハイマー病 / 中性脂質 / リン脂質 / n-3系多価不飽和脂肪酸 / 神経変性疾患 / 多価不飽和脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
食品から摂取したドコサヘキサエン酸などの脂肪酸の一部はオキシリピンへと代謝され、脳内で神経保護作用を発揮していると考えられている。従来オキシリピンは遊離型として存在し、種々の機能性を発揮していると考えられてきたが、申請者はこれまで独自の分析技術でヒトの脳内には、エステル型オキシリピン(脂質に結合したオキシリピン)として存在していること、そして病変部においてエステル型オキシリピンが減少していることをいち早く明らかにした。本研究では、エステル型オキシリピンの精密な解析法を構築し、生体内での存在形態や機能性を明らかにし、食品による神経変性疾患の予防法構築に貢献する。
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研究成果の概要 |
本研究では、まず各脂質のエステル型オキシリピン(OXL)を網羅的に解析できる方法を構築した。本法を用いてアルツハイマー病(AD)者やモデルマウスの脳の解析を行なった。その結果、AD後期の脳において中性脂質に結合したDHA由来のOXLが健常者と比較して優位に減少していることが明らかになった。一方で、AD初期の脳ではいくつかのリン脂質に結合したOXLが、認知機能低下に影響を与えていることが分かった。これらのことから、エステル型OXLがAD発症及び、その病態変化に重要であることが分かった。そこで、いくつかのエステル型OXLの標準品を有機合成し、さらにその分析法を構築し、実際の脳での分析を達成した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高齢化社会が進む現在、アルツハイマー病などの神経変性疾患の予防は喫緊の課題であり、食品機能性成分による予防が国内外で盛んに検討されている。本研究では、DHAやEPA摂取による神経変性疾患発症予防メカニズムの解明を最終目的に、これらの実際の脳における代謝物であるOXLの存在形態および疾患への関与を明らかにした。本研究成果により、闇雲にn-3系多価不飽和脂肪酸を摂取するのではなく、より効率的な摂取方法を講じることができると期待される。食品からのn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取による神経変性疾患予防への期待は大きく、本研究の社会的意義と波及性は大きい。
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