研究課題/領域番号 |
20K15475
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
岡本 薫 藤田医科大学, 医学部, 助教 (60866870)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 食物アレルギー発症予防 / 鶏卵アレルギー / 早期離乳開始 / スキンケア / 小児アトピー性皮膚炎 / IgG4 / IgE / EASI / オボムコイド減量 / 無作為ランダム化比較試験 |
研究開始時の研究の概要 |
近年鶏卵タンパクの早期導入が鶏卵アレルギーの発症予防に有用であると報告された。特に、本邦で実施されたPETIT studyでは効果、安全性ともに優れた結果が得られたものの、鶏卵早期導入を行った過去の研究では、アナフィラキシーを含む有害事象も少なからず報告されており、安全性の面での課題が完全に解決されたとは言い難い。 「より安全な食物アレルギー診療」の観点から、我々はアレルゲン性を抑えた加熱鶏卵粉末を開発し、その安全性と食物アレルギーの病態に与える効果を検証してきた。この低アレルゲン化鶏卵を離乳早期から導入することで、より安全に鶏卵アレルギーの発症を予防できるか否かを明らかにすることとした。
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研究実績の概要 |
2022年度は引き続き対象患者の収集を行いながら、これまでの症例のデータを解析し、その結果を第59回日本小児アレルギー学会にて報告した。IgG4値の測定に関して委託企業(サーモフィッシャーダイアグノスティック株式会社)に依頼していたが、2022年度は研究代表者の急な異動に伴い検体の取りまとめが困難であったことなどから2023年度にまとめて送付する方針とした。 1.現時点で研究同意が得られている患者は22名、このうち1名が転居に伴い脱落、1名は実施中であり、上述の国内学会では計20名に関する解析結果を報告した。加熱全卵(Heated Egg:HE)群、脱オボムコイド(Ovomucoid Reduced egg: OR)群はそれぞれ10名ずつに無作為に分類された。両群のCharacteristicsにあきらかな有意差は認めなかった。 2.主要評価項目である鶏卵アレルギー発症者数はHE群で1名、OR群で2名であり有意差を認めなかった。 3.副次評価項目として卵白・オボムコイド特異的IgEと、オボアルブミン・オボムコイド特異的IgG4の推移を比較検討した。特異的IgE値は20名全例、特異的IgG4値は測定できた13名(HE群7名、OR群6名)に関して評価したが、いずれも群間で明らかな差は認めなかった。 以上の結果から、現時点では低アレルゲン化鶏卵粉末による鶏卵アレルギー発症予防効果は加熱全卵粉末に劣らなかったが、依然非劣性の確認に必要な症例数は満たしていない。コロナウイルス感染症の鎮静化に伴い、今年度は新たに2名から研究同意が得られており、来年度末にはより症例数を増やして報告できる見込みである。なお、今年度の補助金は、学会参加に伴う旅費(第59回日本小児アレルギー学会 於沖縄県宜野湾市)および特定臨床研究定期報告における審査費用に充てられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
症例の収集に関して、4つの医療機関で参加者の募集を行っているが、コロナ禍の影響もあり参加希望者が想定以上に少なく現時点で目標症例数の10分の1程度である。 血清中IgG4値の測定を依頼しているサーモフィーシャーダイアグノスティックス株式会社において、昨年度まではコロナ禍の影響で本社のあるデンマークでのみ業務委託を行っている関係で海外への送付に際し高額な経費が発生することから、頻繁なIgG4値測定の依頼ができ なかった。 なお、今年に入ってから新型コロナウイルス感染症が鎮静化してきていることから、国内での測定が可能になれば、経費の節約につながると考えている。国内での実施可否およびその時期に関しては当該企業に確認中である。
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今後の研究の推進方策 |
食物アレルギー発症予防効果に関して、低アレルゲン化鶏卵粉末の、加熱全卵粉末に対する非劣性を証明するための症例数が不足しており、さらに積極的な患者収集体制の構築が望まれる。近隣の医療機関への適応患者紹介を依頼しているが、結果は芳しくないため、協力4機関への働きかけを強化している。 本研究の暫定結果は2022年11月開催予定の第59回小児アレルギー学会学術大会にて報告したが、今後症例数が増えれば、結果を取りまとめて再度学会報告を行うとともに海外論文へ投稿の方針である。
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