配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
本研究は、Benzoquinone(BQ),Methybenzoquinone(MBQ), Thymoquinone(TQ)とその還元体(BHQ, MBHQ, THQ)を試験化合物として使用した。前年度までの結果より、①THQは銅との相互作用によりDNAに酸化的傷害を引き起こすこと、②THQ, MBHQ, BHQは銅との相互作用があり、電子供与基が多く置換された化合物の方が相互作用が強いこと を明らかにした。これより銅と化合物が相互作用することにより、生体へ傷害を与えていることが予想された。 次に我々は、酵素中にCu2+を2分子含むチロシナーゼに着目した。L-チロシンを基質として、チロシナーゼによってL-ドーパ、ドーパキノンへと変化する。ドーパキノンは生体内での非酵素的反応により、メラニンが生成する。基質はチロシナーゼ中のCu2+と反応し、ドーパクロムが生成する過程でCu+へと還元される。基質と比べてチロシナーゼへの親和性が高く、還元力の高い化合物に強いチロシナーゼ阻害作用を示すと考えられる。THQ, MBHQ, BHQのチロシナーゼ阻害活性を評価したところ、THQはMBHQよりも阻害活性が高く、BHQは阻害活性を示さなかった。これにより、電子供与基が置換した化合物においてチロシナーゼ阻害活性が増強することが明らかとなった。 スーパーフードとして知られているTQは、生体内の還元酵素によってTHQへと変化すると考えられる。このTHQは銅との相互作用によりDNAに酸化的傷害を与える「有害」な作用と、チロシナーゼ阻害作用によるメラニン産生を抑制する「有益」な作用の2つの面を持ち合わせていることが明らかとなった。
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